中央公論8月号

藤巻さんの「迫るハイパー・インフレの危機 現金・預金は一番のリスク資産」
(最近の傾向にたがわず)ロジカルで平易で分かり易い。


特に今回の注目点はハイパーインフレの道筋の例が描かれている点。
(1) 国債の入札未達成が起きる → 瞬時に債券市場、株式市場、外為市場でストップ安が生じる。
(2) 同時に銀行取り付けが発生する。(国債を大量保有する銀行が国債価格の大幅下落でバランスシートが悪化し、不安を感じる預金者が現金の確保に走る)
(3) 政府の予算確保を助けるため、日銀は国債引受を始める。 また、金融恐慌を防ぐため、日銀は銀行から国債を買い取ることで貨幣を供給する。 これらの結果、大量のおカネがばら撒かれる。
(4) その結果、円の価値が下落し激しいインフレになる。 ベースマネーが大幅に増えると共に流通速度の上昇するだろうから、マネーサプライはかなり増大する。


また、「大きな政府」の問題点は
(1) 郵貯等で集めたお金を、役人のインセンティブとして「高利回りよりも損をしないこと」を優先し、シミのような利回りの日本国債に投資した。
(2) その結果、海外投資による円売りは進まず円が高止まりした。
(3) その結果、日本経済は低迷したまま。


家計部門と企業部門の貯蓄が続く間は政府の財政赤字を低金利ファイナンスできるが、貯蓄が不足すると国債の入札がヤバくなるのだろうなあ。 高齢化であまり時間は残っていないのでは? だから藤巻さんは「時すでに遅し」と見ているのではないだろうか。