「何度も言うが諸悪の根源は円高」

http://www.nikkei.com/money/column/moneyblog.aspx?g=DGXNMSFK1103Q_11052012000000

日本でも、今後、さらなる量的緩和を行っても効果は期待できないであろう。

このように日銀はすでに最大限の金融政策を打っているし、財政も最大限出動している。それにもかかわらず日本の景気は低迷している。それも、半端な低迷ぶりではない、すさまじいほどの低迷ぶりだ。世間は、その低迷ぶりをはっきり理解していないから、枝葉末節的な景気回復論に振り回される。正しい処方箋は、正しい実態把握が必要だ、ということを福島原発事故で痛感したはずなのに、景気対策ではそれが生かされていない。

為替レートが円高に動けば、グローバル経済下で裁定が働いて、日本の物価・賃金・リスク資産価格に下落圧力がかかり、仕事が海外に流出し、雇用が悪化する。こういうデフレ環境下では、利権や現金を抱え込むのが一番手っ取り早くて確実なので、イノベーションが起きるわけもない。

GDPは伸びていないのに、国の累積赤字の方の伸びはすさまじく、この15年間で3倍近くに膨れ上がってしまった。財政状況は先進国中、ダントツに悪く危機的な状況だ。今は、世界の目が欧州に向かっているから大事になっていないだけだ。

負債を減らし・円建て預貯金を増やそう、消費・投資を控えると景気がますます悪化するという理由で政府が赤字を増やして円建て貯蓄の機会と生産の機会を提供した結果が莫大な財政赤字だが、貯蓄意欲を円ではなく外国資産取得に向ければ、異常な円高にもならず、景気は正常レベルで、財政赤字も普通の水準だっただろうに...。

根本的なことが間違っているから、日本は、他国に比べ、これほどまでの遅れを取ってしまった。そこの修正がなければ日本の未来はない。その根本的な間違いとは為替のレベルに他ならない。だから私は「諸悪の根源は円高だ」と言っている。経済学では景気回復の手段として「金融政策」、「財政政策」、「為替政策」の3つをあげる。日本は為替政策を全く無視してきたどころか逆噴射させている。ここが大問題なのだ。

円高で仕事が海外に流出しすると、人を切る、給料を下げる、ということになり、後ろ向きなことに忙殺されてイノベーティブなことができるわけもないし、円の現金・預金を抱えるのが一番得なのでリスク資金が供給されるハズもない。こういう状況で、Googlefacebookのような勢いのある新興企業が生まれるワケもない。
個人も企業も名目値(賃金、売上、等)にけっこう束縛されているので、デフレになると、経済全体が停滞しちゃうんだよなー。読者コメント欄が興味深かった。