去年の文芸春秋7月号の藤巻さん

1年以上前の話です。

文芸春秋 05年7月号 「年金世代のための資産倍増論」 要約

過去の分析
(1) ITバブル崩壊後、9・11テロ、イラク戦争と米国経済が萎縮した。世界のかなりの国でデフレが起きた。
(2) 消費者物価のデフレに伴い、世界中の中央銀行が非常に積極的な金融緩和政策をとった。
(3) 消費者物価はデフレのままなのに資産価格のほうは世界中で上昇し、資産インフレが始まった。一昨年は株価上昇、昨年は不動産価格上昇(日本を除く)。
(4) 昨年は資産インフレの資産効果とBRICs諸国の健闘で世界経済は5%成長。25年ぶり。好景気を反映し商品市況も上昇。
(5) 世界の中央銀行は超金融緩和を解除し金利を中立に戻しつつある。現在はその修正過程。

藤巻さん個人の資産運用 (長期的視野)
(1) 長期の固定金利の金を銀行から借りる。住宅ローン
(2) 自宅を含め不動産に投資
(3) 株を買う。米国株中心。
(4) 流動性はドルMMF
(5) 円預金はほぼ皆無

あと数年で今の固定金利は銀行からのギフト状態になるくらい実質的に負担が軽くなうる。

資産運用はインフレ対応型ポートフォリオである

早かれ遅かれインフレが来る

  • 長期固定金利の借金
  • 不動産
  • 株式

インフレが来ると考える理由 ... 国の財政赤字があまりにもひどい
税収 44兆円、84兆円支出、40兆円赤字。国債発行で賄う。
解決策
1 消費税率上げ、1%で2兆円の増収 財政赤字の累積部分は減らせない
2 好景気で税収を増やす バブル期でも60兆円強
3 徳政令
4 公務員に給料を払わない
5 インフレ政策 合法的徳政令
3と4はあまりに無茶なので、解決策は5のみ。インフレ政策以外に財政破綻を避ける道が無い。選択の余地無し。

国のバランスシート   インフレ期待
日銀のバランスシート  国債を買い、通貨発行
銀行のバランスシート  国債を買い、デフレ対応
個人のバランスシート  銀行預金、デフレ対応

国が財政出動で借金を重ね、個人が尻拭いをしている。日銀も尻拭いを手伝っている。品物の量が同じでお金が3倍流通すれば、お金の価値は当然下がる。

国のバランスシートと個人のバランスシートは正反対。 国の資産:不動産、為替介入で購入した米国債とドル預金

個人と国がぶつかれば国サイドが勝つ。政府に都合が良い政策が取られる。つまり、インフレ政策。

(1) 資産インフレが来ると確信したら、ポートフォリオを果敢に再構築せよ。
(2) 国の財政赤字とデフレはいつまでも共存しない。いつかインフレは来る。転機は近いかも知れない。100万円が無価値に。
(3) 消費者物価がデフレでも資産インフレは起こりうる
(4) 資産インフレが来ると確信した場合の資産運用

  • 現金、固定金利の債券・預金の割合を減らす
  • 長期固定金利債券の購入を避ける、購入するなら、短期債や変動金利
  • 退職金で借入金を返さない
  • 変動金利の借金は固定金利に切り替える
  • 不動産購入は早める
  • まとまった資金が無いならば、JRIETや不動産関連株を購入する
  • 株を購入
  • より積極的にリスクをとりたいならば米国株や米国不動産、米国不動産は下落リスクもある
  • 国債先物ショート

(5) ドル資産を持つ、ただし長期の米国債は価格が大きく下がる可能性があるので避ける (長期金利が大幅上昇する)
日本に本格的な資産インフレが来るか否かはドル/円レベルによる。130円、140円と上昇すれば日本経済は急速に回復し、資産価格はバブル的になっていく。逆に90円、80円となれば日本経済の将来は暗く、資産価格も下落する。
(6) 経済学とか金融の基本を勉強する。ノウハウ本をいくら読んでも経済のうねりを見出す力はつかない。

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藤巻さんの主張は1年前も今も変わりません。ただ、「ハイパーインフレ」という言葉がチョコチョコ出てくるようになったのが不気味。