前回のバブルと次のバブル

以下の話は全くの私の誤解かもしれませんので、くれぐれも真に受けないでください。

私は前回のバブルをこんなふうに(おおざっぱですが)見ています。

'86年から資産価格がぐいぐい上昇し始めたように記憶しています。資産バブルが始まってもCPIは上昇せず、日銀は金融を緩和したままだった。そして株価と地価は高いところまで上昇した。

大規模なバブルの時には神話が信じられると言われますが、当時の日本にもいろんな神話がありました。

資産の購入の裏側には信用(貸し出し)の増加(マネーサプライの増加)があったと思いますが、マネーサプライが増えれはいずれはCPI等の実体経済でもインフレが始まる。

マーケットはインフレを感じて長期金利が上昇始めた。
日銀はCPI上昇を見てあわてて短期金利を引き上げた。

外国人投資家は、株価を将来の期待キャッシュフロー金利で評価しているので、金利上昇を感じて売り始めた。空売りで勝負した人もいたかもしれませんね。だから、先に株式市場が崩壊したのでしょう。

(当時ファイナンス的発想を持たなかった)日本人が参加者だった不動産市場は暫く持ちこたえたものの、新たな買い手が消滅したとき金利上昇で信用が続かなくなってついにバブルは崩壊。その後、逆資産効果金融危機で長い不況に入ったことはご存知のとおり。

ちょっと乱暴な議論ですが、将来のフリーキャッシュフローの期待値が変化しないならば長期金利が倍になれば株価は半分ですから、約4万円から約2万円への下落は金利にすなおに反応しただけ、かも知れません。

一方、地価はオランダのチューリップ、フランスのミシシッピ・バブル、イギリスの南海バブルと同様の典型的な巨大バブルだったようです。

さて、今回は、日銀券発行残高がバブル期の2.5倍もあります。バブル崩壊後企業が負債を減らし続けたこともあり、マネーサプライは膨張していませんが、借金はいずれ返済し終えるし、企業が強気になれば借入が増加に転じマネーサプライも増えるのでは、と思います。

金利が長く続くと、藤巻さんのように借入でバランスシートを思いっきり膨らます投資が一般人にもはやるようになり、「資産価格は上昇するが借入金利は低いから濡れ手に粟だ」と誰もが思うような状況になると、バブルになっちゃうかも知れません。

日銀がForward Lookingで金利を誘導し、一般人が「うーん、微妙だなー」と思う状況を維持すれば、資産価格はゆっくり上昇。

ゆっくり時間をかけて変化したとすると、行き着くところは

  • ベースマネーが2.5倍だから、マネーサプライも2.5倍、お金の価値は2.5分の1
  • 株価(通貨の単位で計った名目値)は 1,600円×2.5=40,000円
  • 為替 110円×2.5=275円、でもアメリカもドルを刷って200円 ?
  • 最終的に物価も2.5倍

仮に10年で物価が2.5倍ならば年率9.6%のインフレですから、高インフレだが決してハイパーじゃない。

バブルになるためには人々が理性を失うような神話が必要ですが、今のところ見当たりません。株式にも不動産にも日本人とは別の視点の外国人投資家が沢山入っているならば、割高になると売りが入り、市場は冷静かも知れません。

問題は巨額の財政赤字の存在

例えば、4年で日経平均が4万円になるほどマネーサプライが拡大するとすれば、いずれ実体経済にも波及し、マーケットはインフレを織込み長期金利が上昇する。そこで政府の財政運営が苦しなり、日銀が金利を下げようとすると(債券を買いベースマネーを市中に放出する)、インフレが加速し、経済にインフレが定着してします。すると長期金利が更に上昇し、政府はもっと苦しくなる。苦しくても安全保障とか警察・消防とか教育とか支出はやっぱり要るので日銀が....。こうなると、インフレ率を月率で表示するハイパーインフレの世界ですね。こうなると日本株の株価はValuation不能状態で、ドルやユーロが一番安定した資産かも。ハイパーインフレが始まっちゃうと、800兆円が二束三文になった時点で日銀が経済が窒息するくらい思い切り金融を引き締めてまっとうな世界に戻るんじゃないか、そんなイメージです。

財政赤字の効果のリサーチには手がついていませんが、
マネーサプライの拡大のスピード → インフレ期待 → 長期金利
なので、資産価格の上昇速度とそれをコントロールする短期金利が要注意ポイントかなあと思っています。

ハイパーインフレの可能性があるからこそ、藤巻さんの個人ポートフォリオは、日本株ではなく米株と日銭が入る不動産かも。そして、日銀が思い切り金融を引き締めた瞬間こそが日本株をしこたま買うチャンスでしょうね。