「プロ論。3」の藤巻さん

まさかここで円安論は出てくるまいと思いきや、円安論が展開されていました。
立ち読みの記憶なので少々あいまいですが...
「日本では人件費が高い」 → 「競争力が失われる/仕事が海外に流出する」 → 「資産構成に大きく影響する*1
「これを防ぐ策は『円安』にすること」


ここより藤巻さんが「今の為替レートが円高に偏りすぎている」と考える理由のひとつを推定できます。


以下は私の勝手な想像です。

考え方は財やサービスで測った実質の労働コストのグローバル比較・裁定ですね。

A国の実質労働コスト = A国の賃金等 / A国の労働生産性
B国の実質労働コスト = B国の賃金等 / B国の労働生産性
とすると、
A国の実質労働コスト > B国の実質労働コスト
ならば、
A国からB国へ仕事が移動し、A国の景気は悪くなる。A国の賃金はA国の通貨で支払われるから、景気悪化に伴いA国の通貨が A国の実質労働コスト = B国の実質労働コスト となるまで下落すれば均衡する。
ところが為替レートが動かないと、(両国の生産性が変化しないならば)名目賃金が変化することで均衡に達する。すなわち、A国の名目賃金の下落 and/or B国の名目賃金の上昇。
名目(平均)賃金の下落は「期待」を悪化させデフレをよりいっそう深刻にし、更に悪いことに、デフレ傾向の通貨は強くなりがちなのでグローバルにみた賃金を高くする。A国の国民を苦しめる嫌なポジティブフィードバックですね。
一方為替レートで調整すればインフレ気味の「期待」を与え、程々のインフレならば景気にプラス。

「フラット化する世界」では賃金のグローバル・アービトラージが働く。現在の日本で名目賃金での調整が起きているならば為替レートがファンダメンタルズよりも円高だからにちがいない。ならば円安になれば日本から仕事が消えることはなかろう。

こういうロジックですね、きっと。賃金は藤巻さんのいうファンダメンタルズのひとつだった。

*1:随分遠まわしな表現ですね、編集で省略しすぎ意味不明になったのかも。