ゴリラゲーム by ジェフリー・ムーア他 ... 8/23 追記
月に1回ほどBookOffに行くと買い損ねた本にめぐり合えることもあり重宝します。 最近入手できた本は「ゴリラゲーム」。 誰かが読んだ形跡が無いのでどこかの倉庫に積まれていたものかも知れません。 以前迷える初心者投資家だったころ、図書館で読み、企業の競争力と将来の利益の期待と金利と株価の関係をこの本の4章でやっと理解したものです。
- 作者: ジェフリー・A・ムーア,ポール・ジョンソン,トム・キッポラ,高田有現,斉藤幸一,荒井拓也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/09/18
- メディア: 単行本
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個別株のファンダメンタル投資の本を「裏側」から読むと、サラリーマンとして自分の仕事のビジネス上のポジションの認識、次に起きるであろうことの予測、取るべき戦略的方向の理解*1にとても役立ちます。 テクノロジー分野で生計を立てている私としては、テクノロジー・マーケッティング&戦略の参考書としてこの本を手元に置きたかったのですが既に絶版らしく久しく入手できませんでした。 一時期Amazonの中古本で数千円の価格がついていてぶっ飛んだものです*2。 今回入手できラッキーでした。
章立てはこんな感じです。 私の目当ては第2章〜第6章。
第1章 個人投資家とハイテク産業
第2章 ハイテク市場の発達段階
第3章 なぜゴリラはこんなに強いのか
第4章 株式市場はゴリラパワーをどう評価するか
第5章 ゴリラ地図を作る
第6章 ゴリラを探せ!
第7章 ゴリラを捕獲する
ハイテク市場の発展段階
- 初期市場 テクノロジーマニアが支持し進歩派が導入に踏み切ることで過去の技術とは不連続な新技術の市場が始まる。 進歩派の企業が技術で根本的な変革を起そうすることがその技術の需要のもと。
- キャズム 進歩派が新技術の導入を終えたが、マスマーケットの実利主義者が様子見を決めこみまだ手を出さない状態。
- ボーリングレーン 新技術が市場に広く浸透し始める時期。 企業の一部門を中心に形成されるニッチ市場で、一部門のビジネスプロセスの機能不全を解決することで、ニッチ市場で新たな価値連鎖が形成される。過去と連続性を持たない革新的新技術が市場に受け入れられ、新市場が誕生した。 ニッチ市場からニッチ市場へと小規模な急成長が出現する。
- トルネード 実利主義者が新技術への懐疑・抵抗をやめ新技術を受け入れる時期。 群集の主意にあわせようとする強い意識がマスマーケットでの急成長を引き起こす。 この時期は数年間(3年〜5年間)続く。
- メインストリート 需給が均衡しマーケットは安定した状態となる。 エンジニアリングからマーケッティングに焦点が移る。 企業の戦略はシェアから利益率へ。
- 技術浸透の終わり 技術の浸透が終わった後も、製品としてライフサイクルは長く続く。 メインストリーム市場が成熟し製品がコモディティに近づくとアウトソーシングが始まる。
ハイテク企業の分類
- ゴリラ 業界標準となった専有アーキテクチャを持つ企業
- チンプ 業界標準になりそこねた専有アーキテクチャを持つ企業
- モンキー 業界標準アーキテクチャを真似し互換製品を作る企業
- 王 アーキテクチャを単独で支配するベンダーがいない業界での、リーダー
- 王子 挑戦者
- 小作人 追従者
ある技術が発展段階のどこにあるか、ある企業がどのカテゴリーに入るかを考えると将来の見通しを立てるのに役に立つこともあります。 例えばゴリラがぶち上げる戦略はバリューチェイン全体が後押しするゆえ実現する確率が高いが、チンブが掲げる戦略は後押しが無いためよくよく精査しなきゃいけない、モンキーがゴリラに逆らっても成功はせいぜいニッチ市場に限られるだろうとか。