フィナンシャル・ジャパン 1月号の藤巻さん 「国に逆らわないポートフォリオ」

あの木村剛さんの雑誌のせいか、藤巻さんが他誌のインタビュー記事よりも(普段はオブラートに包んで語る話題を)ストレートに語っており、立ち読みで済ますつもりがつい買ってしまいました。
貯蓄率ゼロ経済―円安・インフレ・高金利時代がやってくる の櫨浩一さんのインタビュー記事もあり、「円安・インフレ・高金利」と藤巻さんのポジショントークを援護射撃!?。
冗談はさて置き、櫨浩一さんが長期に「円安・インフレ・高金利」となる理由を簡明に説明しています。 それを踏まえて藤巻さんのインタビュー記事を読むと説得力があります。藤巻さんはかつてAmazonのインタビューにて生保の分析には見るべきものがあると答えていたと記憶していますが、人口分布の変化のマクロ経済への影響は重要ですね。
貯蓄率ゼロ経済についてはこちらを
http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20061228
http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20070110
http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20070126


以下は私の解釈による要約です。 決して真に受けず、参考にする際にはインタビュー記事を参照してください。


インフレの要因

  • 景気が良くて、需要 > 供給
  • 原材料価格上昇で製造コスト上昇、人件費上昇でサービスを供給するコストの上昇
  • 貨幣価値の下落

バブル崩壊後の15年間の経済の低迷でインフレを過去のものと思いがちだが、貨幣価値下落によるインフレの可能性がある。
日銀は超金融緩和を長期化しているので、おカネはジャブジャブ、景気が悪くても貨幣価値が下落すれば物価は上がる。 この場合、一般物価の上昇に4〜5年先立って資産インフレが起きる。 資産インフレによる資産効果で需要が増え、一般物価を押し上げる効果がある。


財政赤字

  • 財政破綻で借金踏み倒し(デフォルト) --- これが最悪
  • 実質的に借金を踏み倒すためにハイパーインフレを引き起こす --- 次に最悪、保有資産によって大儲・大損が生じ不公正

近い将来にハイパーインフレが来ると予想しているわけではなく、今すぐそれを回避する手段を打つべきだと主張している。 賢明な手段が取られることを望む。 ただし今は、そのための青写真すら描けて以内のが実情であり、実際にはほとんど選択肢がない。

  • 最悪の事態を回避する次善の策が、「穏やかな資産インフレ政策」。 「穏やか」なことが重要。 急激な資産インフレとバブル崩壊は避けねばならない。

財政赤字問題は、日本の「アキレス腱」。 この行方が、日本の将来を左右する最も重要なポイントとなる。 残されているのは、インフレが「穏やか」か「急激」かの二者択一。
2010年のプライマリーバランスの黒字化は言葉の遊びに過ぎない。 今はそれすら実現が危ぶまれ、不毛な成長率論争が繰り広げられている。 「最後はインフレ政策をとる以外に、ほかに解決策があるならおしえてよ」が政府の本音だろう。 政治家は自分の任期を無事に乗り切るためだけの長期的な視座にたたない無責任な議論など出来ないはずだ。


藤巻さんの投資家への助言

  • 長期固定でおカネを借りられるだけ借りて、日本の不動産を買う
  • 日本株アメリカ株
  • 外貨建て商品
  • 日本国債先物)の売り

ここはいつもと同じです。


貯蓄から投資へ
貯蓄から投資へという流れは投資家のためでもあるが、同時に社会のためでもある。 リスクマネーのない日本社会は、いずれ沈滞するしかないことを知るべきだ。 「日本人が、これからも日本で働き続けることができるのか」という、より本源的な問題だ。
預金は銀行を通じて運転資金の融資はできても、未知の新ビジネスを興すリスクを取りにいけない。 リスクマネーが未知のビジネスに投資されないと日本に新しい仕事が創られず、古い仕事は人件費の安い国に流出し、最終的には仕事からあぶれるかカネが稼げない仕事しか無い状態になり、カネを稼ぐために外国に行くという意味でしょう。少し前のEmerging経済諸国のイメージでしょうか。


日本の株式市場
(間が悪い...) 世界の株式市場が最高値圏にいる現実が見えていない。 この事実に気がつけば日本の株式市場も上昇するだろうし、再び円安に振れれば、これを好感したラリーに入るだろう。


不動産相場
過熱感は全く感じていない。現状はバブルな投機的な相場ではない。 アメリカの不動産市場も決してバブルではないと見ている。 相場の上昇スピードは程度の問題であり、すべてをバブルという言葉で片付けてしまうのは安易な思考停止だ。
過剰なリスクテイクや過剰な信用創造の有無でバブルかどうか見ているのでしょうか?。


「国と同じポートフォリオをもっていればチャンスは大きい」
「個人」対「国」がガチンコ勝負をすれば、間違いなく国が勝つ。 国はインフレ誘導の誘惑を振り切れない。
長期固定の借金で土地・株・外貨建て商品を買う。 つまり、「インフレ対応型のポートフォリオ」を構築している。
ここはいつもと同じです。


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