新帝国主義論 by 武者陵司

かつて日本株に超弱気で、今は強気、そしてドルに非常に悲観的なトーンの日本にて米国経済強気論のドイツ証券武者陵司さんの本に、クルーグマン、ジム・ロジャーズ、それに藤巻さんが引用され登場することに興味を引かれ、借りて読みました。

新帝国主義論―この繁栄はいつまで続くか

新帝国主義論―この繁栄はいつまで続くか

感想を一言で言えば、「わかりずらい本だなあ」。
内容を非常に乱暴に要約すると、フラット化する世界 [増補改訂版] (上) *1のマクロ経済現象版といったところで、中国やインド等の国々とアメリカが経済的につながることで、米国経済は中国やインド等の人件費を利用するという「裁定」機会を得たので絶好調だ、という話(と理解しました)。
武者さんは「既製の経済学は通用しなくなった」と本で断言する。これは、経済学の多くの理論は均衡をベースに組み立ててあり、裁定機会があるような不均衡状態では均衡ベースの理論をそのまま当てはめるのはちょっと危険*2。でも、全部の理論がダメな訳ではないのだから、この理論はOK、これはNG、と説明してくれればいいのに!。 そうはいっても証券会社のエコノミスト・ストラテジストが懇切丁寧に理論を解説しては自分の仕事(レポートを書いて顧客の機関投資家のサラリーマンファンドマネージャに提供し取引を引っ張ってくる)がなくなってしまう、大学教授じゃないんだから、ということかも。
昔だったら「既存の経済学は通用しない」と断言されるとびびって本の内容を盲信したかもしれませんが、最近の私はへそ曲がりです。 そのうちBook Offで半値ぐらいで手に入れたら丁寧にチェックしてみたい。(← 気にかかっているので、でも今は時間がとれない)。

*1:いつの間にか増補版がでていた

*2:工学の世界で熱力学と速度論をちゃんぽんにしてはいけないのと同じ