目からウロコの投資術 5/9 逆張り分析術3

日米金利差が広がるとなぜドルが買われるか?
藤巻さんの答えは

最も影響力が大きいのは、金利差拡大でドル先物が買われる点なのです。

ドル金利が円金利よりも高いならば、理論上先物のドルは本日決済のドルよりも安く買えるから、藤巻さんやヘッジファンド先物で円売りドル買いの約束をする。 そして決済日までに円を調達して円の支払いをするか、反対売買で決済する。 1年後にドル・円のレートが変わらなければ利益が出る。 レートが思惑と逆方向に向かうと利益減・ゼロ・赤字となる。
金利差が開くほど、先物のドルをより安く変えるから、利益を出しやすい。 だから、金利差が拡大すると、先物のドル買いが増加し、それに引きずられる形で直物のドルが上昇する。
なぜならば、先物のドル買いの注文を受けた銀行は、決済日までの為替レート変動リスクを回避したいから、直ちに直物でドルを買い、そのドルを決済日まで誰かに貸して利子を受け取るという運用をするからとのこと。 ... だから、直物が買われるし、誰かに貸すからこそ為替レートが金利とリンクする。

ドル金利の市場と、円金利の市場と、為替直物の市場と、為替先物の市場があり、それらは相互に繋がっていて相互作用していているが、短期金利中央銀行が仕切っていて、先物市場はレバレッジを利かせた大きな取引をしているから直物が引っ張られるということでしょう。 市場間の相互作用と、大きな市場が小さな市場を振り回す → だから市場の動きの元はココ、こういう解説はマーケットに通じた藤巻さんならではですね。

中央銀行の今の政策金利と将来の期待 → 先物の売買 → 直物の売買 → 直物の価格の変化 → 実体経済へ影響(金利の変化や輸出入の変化)および期待の変化 → ...
こういうふうに影響が伝播していく、と理解しました。


一方、為替については、高金利通貨やインフレ通貨は短期的には上昇するものの長期的に下落していくとも言います。
名目金利 = 実質金利 + インフレ率
なので、マネーサプライが多すぎる結果インフレを織り込むことで長期金利が高くなっている通貨は、おカネがジャブジャブなぶん(過剰に存在するぶん)下落するのでしょう。 逆にデフレ通貨は高くなって、ますますデフレに苦しむ。

また、藤巻さんは、為替は長期的にはその国の経済のファンダメンタルズで決まると、おっしゃる。つまり、実体経済が強い経済にはビジネスチャンスが多いから、

  • 株や不動産価格が上昇するからリスク資産需要が多い → リスク資産購入のためにその国の通貨需要が増加 → 通貨高
  • 資金需要が強い → 実質金利が上昇 → 名目金利が上昇 → 債券投資のため通貨需要が増加 → 通貨高
  • 経済が過熱せぬよう中央銀行短期金利を高めに維持

こういった理由で通貨は、経済が巡航速度を維持するレベルまで上昇する、ということかなあ。

短期金利長期金利、両通貨の金利差、期待、etc. 為替にはいろいろな要素が絡むから難しい。


ところで、藤巻さんは「グラフには要注意」と著作で述べていますが、金利差と為替の関係を示すグラフ ... なんとコメントすればいいのでしょう。 クスクス笑いです。