雑誌 Voice 9月号の藤巻さん

インフレを克服する日本という特集に「円安で株価は上がる - 個人金融資産の力で景気回復へ」という藤巻さんの寄稿があります。
内容は

  • サブプライムローン問題の終結は時間の問題と考える。 しょせん「価格」の値つけ問題*1であり、価格が落ちるところまで落ちればそれで終り。 金融関連株の株価が上がればアメリカ経済は再び好回転を始めるだろう。
  • 資源インフレと食料インフレは需給の問題*2新興国の経済発展で需要が強いため。 *3
  • これからの世界の強国となるのは資源大国か農業大国。 日本はどちらでもないから円安に向かうと予想。*4
  • 円安になると輸入インフレが発生する。
  • 円安になると海外に売るモノ・サービス・労働力が割安になることで輸出が増え(輸入が減少し)、国内の景気が良くなる。 東京と地方の格差問題は、円高で労働需要が海外に移転したという「円高問題」といえる。
  • 日本は無資源国なので、働いて稼ぐか、投資で儲けるしかない。 今の日本は円高で仕事を失っているので投資で稼ぐのが得策である。 日本人自身が投資を行い、日本企業の成長による配当を享受する意識がなければ日本経済は活性化しない。 インフレはこの状況を打開する絶好のチャンスである。
  • 富をインフレ時に残すためには、株と土地。
  • 日本がインフレに至る最も望ましいシナリオは円安・ドル高である。これ一発で日本の景気は回復に向かうだろう。 円安ドル高で日本は資産インフレで経済が元気になり、好景気へ向かう。
  • インフレを回避しようとするのは愚の骨頂、不可能。 今の日本経済で円高にしたらインフレ回避の前に何も売れない国になってしまう。
  • 財政赤字には、(1)元本の返済と、(2)利払い、の懸念があるが、インフレで金利が上昇すれば利払いが困難になる。 (唯一の道は*5)国際競争力を強くして収入を増やすには「ハイパーインフレに至らない適度なインフレを起こす」こと。 円安とともにインフレが起これば、借金が目減りし、株と土地が上がり、給与が増え、消費が増大する。
  • 日本は無資源国である以上、問題はグローバル要因なのだから、まず経済がグローバル化した現実を直視しなければならない。
  • 最も重要な点は、インフレになると、あらゆる面で日本の常識が変わるということだ。
  • 旧態依然とした「常識」を再考し、日本人を目覚めさせるという意味でも、わが国にとってインフレは救いになるのではないか。


藤巻さんの主張がわかりやすくロジカルに展開されていました。


Voice 9月号には他にも興味深い主張がいろいろ載っています。例えば、アメリカ国債を売却せよという勇ましい主張、長期金利を0.25%の精度で引き上げられるとか円高で困る日本国民はいないという主張、日本は財政危機ではないという主張とか。

*1:本来もっと安いはずのものに高値をつけた

*2:貨幣価値低下のインフレというよりも需給がタイトになったことによる相対価格の上昇というインフレ

*3:Google Earthで中国の都市をを見ると高層マンションいっぱい、高速道路も沢山、工場にはトラック

*4:交易条件悪化に伴う経常黒字縮小or経常赤字が円安圧力へ

*5:他の道は日本がグチャグチャになってしまう