藤巻健史の国富論

Voice+で「藤巻健史国富論」という連載が始まっていた。
http://voiceplus-php.jp/webspecial/kokufuron/001/index02.html
以下は私の理解での要約。


第1回は「市場の国際化とは何か」

日本は製造業で富を稼いできたが、経済がグローバル化した結果、輸出主導の製造業のような「日本企業の業績」がよいことと「日本人が豊かなこと」はイコールではなくなった。 世界と比較し日本経済の低迷ぶりを考えると、いまの円は強すぎる。今の為替水準では日本人の給与水準が高くなりすぎ、雇用が減る。 円高のせいで日本企業から仕事をもらえないし、株を保有しない日本人は日本企業の成長に伴う果実を日本人自身が味わえない。

人が生きていくためには、働いて儲けるか投資のリターンで儲けるかの2つしかない。 日本では円高で働いて儲けることが閉ざされている。 日本人の多くは投資よりも預貯金を選んでいる。 つまり、いまの日本は労働、投資ともに「食べていける体質になっていない」。

  • 解決法1 円安にして工場と労働を中国やベトナムから日本に取り戻す
  • 解決法2 株式投資を盛んにして、日本企業が上げた利益を国民が享受できる国になるよう、システムとマインドを変えていく

何のための国際化か?、藤巻さんによれば

東京市場の国際化とは、世界の国々の金融機関に東京市場で活躍してもらい、市場を活性化させることである。それによって日本企業と国民の資産を増やすとともに、金融という産業を育てることで、日本人に雇用の場を提供するものでなければならない。(中略)日本が失っているのは「資産」と「雇用」なのだから、両者を取り戻す目的こそが先にあってしかるべきだろう。

東京市場が国際化しない理由

  • 日本経済自体にパワーがない、だから世界中のおカネが集まらない
  • マーケットに厚みがない、すなわち、「ヘッジファンドが市場に入っていない」

それぞれの視点でリスクを取るヘッジファンドが存在しているという多様性こそが、市場全体のリスクヘッジ要因。 ヘッジファンドがショックアブソーバーとなり、マーケットの参加者全員が沈没するようなことにはならない。 投機家は必要不可欠な市場の構成員。リスクテイカーのいないマーケットは脆弱であり、そうした市場は国際化とは程遠い。
東京市場が国際化し、金融のような金回りのよい産業が発達すると、国に与える経済波及効果も大きい。

存在しなかった「円キャリートレード
ヘッジファンドは、金利差が開くとドルの先物買いを行ない、金利差が縮まるとドルの先物売りをすることがある。だが、それは「円キャリートレードもどき」にすぎない。ヘッジファンドが円を大量に借りてドルに替えドル債券を買いドル金利を得るトレードをしているわけではない。 それをやっているのは日本の財務省だけである。 それにもかかわらず、「円キャリートレード解消」というある種の「風評被害」で市場が動いてしまうようでは第2、第3のサブプライムローン問題が今後発生した際、同じパニックと株価下落に見舞われることになる。


藤巻さんの著作で説明をはしょった部分(読者の勉強用に残してある部分?)の回答といったところでしょうか。 「
つづく」とあるので今後が楽しみ!。