「円キャリートレード」は存在しない
メディアでは「円キャリートレードの巻き戻し」説が言われていますが、藤巻さんは「ヘッジファンドは昔から日米金利差が開けば先物のドル買い」をするが、財務省以外に「円キャリートレード」は無いと断言しています。
「先物のドル買い」と「円キャリートレード」はどこが違うのでしょうか? 考えてみました。
- 「先物のドル買い」 ヘッジファンドから1年の先物のドル買いの注文を受けた銀行Aはドルの直物を買い、金利先物市場で1年の金利先物を取引し、為替と金利変動をヘッジした上で、1年間ドルを運用する。
- 「円キャリートレード」 銀行から円を借り、外為市場でドルを買い、ドルを運用する。
どちらも現時点で円売りドル買いが発生し、同じように見えます。
ところが、マネーサプライに注目すると
- 「先物のドル買い」 銀行Aに直物のドルを売った銀行Bはドル資産(ドルの貸し出し)を処分するが銀行Aがドルを運用(貸し出し)するのでマネーサプライは変化しない。
- 「円キャリートレード」 銀行から円を借りる時点で円のマネーサプライが増加する。 財務省の為替介入の場合はFBを日銀に買い取ってもらうのでマネタリーベースが増加する(マネーサプライはその乗数倍で増加する)。
円キャリートレードが解消されると、為替で円高圧力がかかると同時に、マネーサプライの減少で、経済に2重にマイナスの作用となります。
藤巻さんはマネーサプライの増減を意識していて、それゆえ、素人には一見良く似た取引を全く別物と認識していることがわかりました。 (注:私の勘違いかも知れませんが)