藤巻健史の国富論 第2回

いつもと同じです。
http://voiceplus-php.jp/webspecial/kokufuron/002/index.html

私はたしかにこの下げ幅には驚いたものの、新聞の記事を読んで「いくら何でも脅かしすぎだろう」と思った。

素人の私は、サブプライムがらみの派生証券やCDSの買い手が消滅して流動性危機(売るに売れなくてキャッシュが無くなる)が生じ、それが引き金になって信用不安となっているのが今!と見ています。 臨界点を越えて信用恐慌になるか? 各国の中央銀行と政府がすばやく動いているので「越えない」と希望していますが、どうなることやら...。

もう一つ、マーケットをあまり知らない人が誤解しがちなのは「円安になると株が下がる」という話である。とくに昔は、日本のマーケット関係者のあいだでも「円安になると株が下がる」と常識のようにいわれていた。
(中略)
 なぜ上記の誤解が生じるのかといえば、日本の市場関係者には、為替と株を同時並行で見て分析する人があまりいないからだ。為替に通じている人であれば、仮に円が安くなっても、ドルの先物買いをすれば損失をヘッジできることを知っているから、「円安になると株が下がる」とはいわない。さらに株価をウォッチしていれば、円高になると景気が悪くなり、ひいては企業業績が悪化して資産(株や土地)の価値が下がってしまうメカニズムが理解できる。
ドルの先物買いのような手法を使わない個人のレベルでいえば、円安になると株を買っていた人が損をするという論理がまかり通るかもしれないが、日本株を買っている海外の投資家はほとんどがプロだろうから、ドルの先物買いでのヘッジは当たり前である。

日本人の投資に関する意識が、閉鎖的であることの弊害は大きい。たとえばサブプライムローン問題が起きる前の世界経済は、かつてないほど絶好調であった。30年ぶりの5%成長が5年も続くという活況だった。各国の株と土地がぐいぐい上昇し、資産効果が出た結果だ。

 このままでは、日本と世界の「国富の差」は拡大していく一方だ。日本では相変わらず「格差問題」が喧伝されている。だが、日本国内の格差を縮めることばかり考えて、外国との格差がどんどん開いていることに気づかなくなってしまっている。
(中略)
平等であるということは「平等に貧しいこと」に陥る可能性がある。株に関する税金を下げると、すぐ「金持ち優遇政策だ」という批判が出るが、株価が下がると逆資産効果で不況になり、失業者が増える。最初に首を切られるのは、往々にして経済弱者の人たちだ。年金支給額も減ってしまう可能性がある。

以前と比べると、藤巻さんの解説はきめ細かくなったと思います。 藤巻さんの見解は相変わらずマイナーだからでしょうか、これはこれで困ったことだと思いますが。