2月18日 日経経済教室 by 原田泰さん

中国の過剰貯蓄が米国の実質金利を低下させ、その結果、バブルが起きたのか?
日本の低金利政策が日本から米国へ資金流入をもたらし、実質金利低下でバブルが起きたのか?
原田さんの見解はどちらも No.
その理由は、中国の経常黒字が急増する以前から米国実質金利は低下トレンドにあり、連動しているとは言いがたいため。


さらに、原田さんによれば、

  • 仮に、途上国が貯蓄を米国に供給、米国実質金利が低下したならば、米国にとって好ましいことである。 海外からの資金で一人当たりの資本蓄積を進め、暫くの間、高い成長率を享受できる。 当然、賃金も上昇するから、住宅の購買力も増大する。 住宅の供給力に制約があれば、住宅価格が上昇することは実質金利の低下がもたらす均衡であり、バブルではない。
  • 米国人が投資した後に中国人が資金を引き出し米国の実質金利が上昇すれば、低収益のプロジェクトは破綻する。 だが、中国の貯蓄が減少したから米国住宅バブルが破裂したのではない。 (中国の消費は急拡大していない)。 中国の過剰貯蓄でも支えきれないほど上がりすぎたのが崩壊の原因である。
  • 「円キャリートレード犯人説」もあやしい。 日本の金利は名目では低いが実質では低くない。 長期でみれば高金利(高インフレ)通貨は為替下落するから、「円キャリートレード」で高金利国に投資しても(長期では)たいした利益が得られないことが多い。
  • そもそもサブプライムローン金利はリスクを反映し高い。 住宅価格上昇が無い限り返済ができそうにない。 そのリスクを低く見積もり安全有利な証券と称して売り込んだことが問題である。 米国金融監督システムの不備とそれを悪用した人々が金融危機の原因である。

とのこと。


本来のリスクを反映せず金利が低くなることで住宅価格が上昇し、同時に、住宅価格上昇をあてこんだ信用の拡大が生じたことが住宅バブルを引きおこし、それがはじけて金融危機となり、実体経済に悪影響しているのが現在ということでしょう。