プロパガンダ 10/3 骨太な内容!

今回もいつもの調子で始まるものの、骨太な内容。

私は講演会で「日本・米国ともに株に強気」と言い続けてきた。米株については、相変わらず、大いに強気である。

日本の株価に関しては、講演会でも「米国株価に引っ張られる形で上昇するであろうが、その上昇度合いはいかに円安が進むか否かで決まる」と言い続けて来た。その$/¥の動きが好ましくない。

そのロジックの基本は、株価上昇 → 資産効果 → 消費増 → 実体経済 (失業率は遅行指標)。


日本に関しては、円安になれば、

  • 日本に仕事が戻ってきて企業収益改善が期待されることで → 株価上昇 → 資産効果
  • 日本に仕事が戻ってきて → 収入増 → 消費増 → 実体経済
  • 日本に仕事が戻ってきて → 失業減少 → マインドの改善 → 消費増 → 実体経済

となると、私は大いに期待していましたが、新政権は(私が教科書で学んだ知識から判断すると)国民に失業増と収入減を押し付けるような政策を次々と打ち出してくるので、すごーく当惑中。


藤巻さんはかなり厳しい。

藤井蔵相の「円高容認発言」(本人はその気がないとしても市場がそう解釈してしまう発言)や政権の「内需振興」政策で円高が進むなら、日本株は世界中の株価上昇から取り残されてしまう。ということは、資産効果が望めないので日本だけ景気の悪化が続いてしまうことになる。

資産効果は企業や家計のB/Sを改善するから、投資や消費を増やし、実体経済をよくする効果があるのに...。

マーケットがわかっていない政治家が政治をすると国が貧乏になる。

ブルーゴールド・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクターのスティーブン・ジェン氏の「雇用を創出する日本企業が困難に直面しているときに国民にエルメスのバッグを買うよう奨励するのが国益になるのか」という批判のとおりだと思う。いずれ、収入が減少してバッグを買うこともできなくなってしまう。

CO2削減公約や最低賃金で企業を海外に追いやれば日本人失業者が増えて内需振興など無理である。円高で物価を安くし個人の消費を狙うと言うが、円高で企業が海外に逃げれば日本人は仕事を失い内需振興など無理である。仕事がなくなり収入がなくなれば多少の補助金をもらっても消費は激減ずる。

グローバリゼーションの時代には、仕事や会社は簡単に海外に移動しちゃうし、移動できない会社はそのビジネスをgive upせざるを得なくなっちゃう。

昨年は貿易赤字である。黒字ではない。赤字なのだ。外需に頼っても文句は出ないはずだ。G20でも「新興国内需振興を」と新興国に注文はあっても日本にむけて、ではなかった。だから内需振興を自虐的に言う必要はなかったのだ。BOEのキング総裁、ECBのトリシェ総裁とえらい違いである。

台湾の元総統、李登輝氏も為替と実体経済の関係を理解していている。えらい違いである。

今こそ外需に頼るべきだ。そのためには円安が不可欠なのに「円高がいい」などとんでもないと私は思う。政策変更をしないと、せっかく株価回復で資産効果により回復に向かい始めた日本の景気に「?マーク」がつく。


藤巻さんによる非常に興味深いアセットアロケーションに関するコメントはコレ。

現在は国内投資から国際投資、特に米国の株・不動産に重点投資をするべき時期なのかもしれない。もっとも、(今日・明日ということではないだろうが)もう少し長い期間で考えると、日本は財政赤字問題から「ハイパー・インフレ+大幅円安+長期金利急騰」の可能性がかなり強くなってしまったと考える。長期金利急騰で株価が一時的に急落したら、日本でも「現金・預金・債券」を「不動産や株」にいそいでシフトさせなければならないだろう。それが財産を守る手段かと考える。


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