「景気と経済政策」 by 小野善康

とても勉強になる本だ。藤巻さんのマクロ経済の見方を理解しようとするにあたり、この本は役に立つ(と思う)。


景気と経済政策 (岩波新書)

景気と経済政策 (岩波新書)


小野教授は、新古典派的な人々の機械の様な行動を仮定する見方を「供給側の考え方」、人間の非合理的な心理(アニマルスピリット)で行動が変化するというケインジアン的な見方を「需要側の考え方」と分類し、景気と経済政策を説明する。

「需要側の考え方」のど真ん中にあるのが、『金持ち願望』と小野教授が名付けるところの「資産効果」。 とにかく金持ちになりたいという人々の願望が、リスク資産価格を吊り上げバブルを起すし、消費を減らしひたすら現金を溜め込みデフレも起す。 資産価格は景気に大きく作用する。貨幣を含む全ての資産の総体が生み出す流動性総量が重要。このようにハッキリ書いてある。

人間はかなり合理的に振舞うが、"トカゲの脳"が『金持ち願望』や『恐怖』を引き起こして合理的には振舞えなくなってしまう。

発行は98年で、もっと早く出会えばよかった...。

人々が貯蓄を欲するにも関わらず国内に投資機会が無い場合は資金が海外に向かうことで輸出と為替レートの経路で景気が回復する、これが私の理解だが、小野教授はカモられるだけと否定的*1

*1:突然ロジカルじゃなくなっちゃうのが不思議...