2〜3週間前の菅野さんの日経コラム十字路より

メモ
日本の財政赤字長期金利上昇に結びつかない理由

  • 民間部門の大幅な貯蓄
  • マイルドなデフレ
  • 日本の投資家のホームバイアス

財政赤字が拡大する一方、巨額の民間部門の貯蓄がデフレの下で実質金利の高い銀行預金に流入。貸し出しが減少中の銀行は国債を購入するので、資金が国債に還流する。

この資金の流れはいつまで続くか?

高齢化で家計貯蓄率は低下の一途をたどる一方、余裕資金を積み上げている企業部門もやがて設備投資や人件費を増やす結果、資金余剰は減少しよう。

財政赤字が拡大する中で民間部門の資金余剰が減少すれば、いずれ財政赤字が民間部門の資金余剰を上回ることになる。

財政赤字ファイナンスを外国人投資家に本格的に依存するようになると

国債市場はそれまでの鎖国状態が終り新しい局面を迎える。

外国人投資家視点から見ると

外国人投資家が考える日本国債の信用リスクは国内投資家に比べ大きいので、国債の利回りは本格的に上昇し始めるだろう。

長期金利の上昇を回避すべく日銀が国債購入を増額ないし国債引受を始めると、財政規律の一段の低下の思惑から長期金利はさらに上昇しかねない。

巨額な累積財政赤字を抱え、毎年赤字を大幅に積み増しする状況では

日銀の財政赤字ファイナンスが本格化すれば簡単にインフレになるが、その時はインフレが制御困難となり、高インフレと円安が日本の新たな問題となってくであろう。

菅野さんは、国内の資金余剰の枯渇は3〜5年後と見ている模様。


財政を締めつつ金融政策や為替政策で景気を刺激せねばならない時期に、金融政策と為替政策が無策で(国民の票を買い集める?ため)財政赤字を思い切り拡大する政治が出現し暫く続くとなれば、道は限られるのだろう。