日経新聞電子版「マネーブログ・カリスマの直言」

タイトルが「浮かれるのは早い 迫る日本リセットの衝撃」
http://www.nikkei.com/money/column/moneyblog.aspx?g=DGXNMSFK2500H_25032013000000&n_cid=DSTPCS008

アベノミクスは日本の財政破綻を早めると思う。その点で私は、近い将来にはかなり悲観的だ。しかしアベノミクスを実行しなければ日本経済は低迷を続け、数年後にはやはり財政破綻を迎えるだろう。遅かれ早かれ財政破綻をするのであれば、日本社会のリセットは早い方がいいとも考えられる。

というのが藤巻さんのスタンス。どのみち財政破綻するならば破壊力が少しでも小さいほうがいい、ということでしょう。
円安が実体経済に寄与する経路は

円安になれば、割安になった日本製品は世界中に満ちあふれる。「ものづくりニッポン」の復活だ。外国人の労働賃金が高くなるため、世界に飛び出していった日本企業の工場が国内に戻り、日本人の仕事は大いに増える。工場周辺の商店街やレストラン、バス会社も元気になる。

日本企業の業績が上向くから株価も上がる。工場の国内回帰などを通じ地価も上がる。株価や地価が上がれば年金の将来も明るくなる。

円安で海外の農産物は高くて買えなくなるから、日本の農業も大復活する。ハワイやグアムなどの海外旅行が高くなれば、沖縄や熱海などの観光業も復活するだろう。アジアからも観光客が押し寄せてくる。

というわけで、ハードランディングの後の日本経済の未来は極めて明るいと私はみている。

大混乱の後は明るいとのこと。残念なのは遅すぎてソフトランディングにはならないこと。

だが、残念ながらアベノミクスの登場は15年遅かった。15年前なら、円安で日本経済のソフトランディングは可能だった。

そう藤巻さんが考える理由は

国の累積赤字がこの15年間で3倍近くにも膨れ上がってしまったのは致命的だ。いまは銀行などが巨額の国債をぎりぎり買い支えている。景気低迷で企業への融資需要がないから国債に回す資金があった。個人が株式投資の代わりに円預金をしてくれていたから国債を買い支える資金があった。

しかしアベノミクスが功を奏して景気が回復し、企業が借り入れを積極化したり、個人が株式投資に資金を振り向けたりし始めればこの事態は崩れる。個人が本格的な円安を確信して円預金を引き出し、外貨投資にシフトしても同じだ。また政府・日銀が掲げる2%の物価上昇率目標が達成されれば国債への支払金利が急増し、予算さえも組めなくなってしまう。

プライマリーバランスとは「国債元本の返済と金利支払いを除いた話」だからだ。元本返済と金利支払いを除いた収支がいくらバランスしても、支払い金利分だけ累積赤字は増え続ける。ここまで借金元本が大きくなると支払い金利も巨大で、プライマリーバランスの黒字化後も累積赤字はグイグイと増え続けるのだ。

国債入札で四十数兆円のお金が集まらなければ、明日にでも資金繰りに困るのは国だって同じだ。

国は毎年四十数兆円の国債を発行しており、この新しい国債を誰かが買い増さなければならない。銀行が国債を前年と同額保有し続けるだけではだめで、毎年誰かが四十数兆円ずつ買い増してくれなければならない綱渡り的な状況だ。

財政赤字の利払いで財政が破綻するから。

もちろん私もハードランディングは絶対に嫌だ。しかし、残念ながらどう考えても避けられないと思う。回避策が見つかっていないからだ。

今後の日本に起こり得るハードランディングは明治維新、第2次世界大戦での敗戦に匹敵するほどの大激変だと思う。

日本史を振り返れば、応仁の乱から江戸幕府成立までも含め激変の後の日本は随分元気になるので、まあ、それはそれで善しとしましょう。