日経電子版 5/23

http://www.nikkei.com/money/column/moneyblog.aspx?g=DGXNMSFK1901R_19052013000000

市場の動きや各種世論調査の結果が示しているように、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は世間で支持されている。しかし私は、実は政府・日銀が景気対策大義名分のもと、財政再建のために「大増税を始めた」という、うがった(?)見方をしている。

大部分の与野党が「財政危機に目を背けている」にしても、ごく一部の経済通の政治家がハイパーインフレ政策による財政危機対策をスタートさせているのではないか、と考えている点だ。

そのほうが手っ取り早いし責任の所在を曖昧にできるから有り得る話であろう。

ほどよい水準であれば、インフレの気配が見えたときに金融市場からほんの少しお金を引き揚げることによって金利を上昇させ、インフレ率をコントロールできる。それが私の現役時代の金融政策の常識だった。

いまのようにお金をジャブジャブにしたいときは、日銀が国債を買ってお金を市中に流す。逆にお金を市場から引き揚げたいときは、保有国債を売却しなければならないのだ。しかし日銀自身がインフレを抑えるために長期金利を上昇させたい(=国債価格を下げたい)ときに、誰が日銀から国債を買うというのか。わざわざ損をするために国債を買う人などいない。

思い切り安値にしないと国債を買ってもらえないし、そうすれば日銀のB/Sは痛むし、日銀自身が長期金利の高騰(人々の高いインフレ率の予想)を認めることにもなる。

ブレーキも出口も見つからない以上、インフレがいったん始まってしまえば黒田日銀の目指す2%などでは収まらず、行き着くところまで行ってしまうと私は思う。

長期金利が上がり始めると、保有国債が多いだけに日銀は大赤字になり、円が急落すると考えてもいい。

と藤巻さんはインフレが制御不能となる道筋を説明。

ハイパーインフレを抑えたくても資金吸収の手段がなくなった政府・中央銀行預金封鎖と新券発行に走るのは歴史が示している。

藤巻さんがとうとう預金封鎖の可能性を言い始めた。

もちろん安倍政権は、インフレしか財政危機への対処法がないことを理解したうえで、インフレを程よくコントロールしながらの経済再建を期待しているのだと思う。一方でその成功確率は低く、財政破綻による日本社会リセットの危機があることも十分覚悟しているのではないか。

「いまはまだデフレだ。ハイパーインフレなど起こるわけがない」と頭から決めつけていては危険な時期に突入したと私は思う。

長い長いデフレで苦しんで、最後の仕上げは激しいインフレで積み立てたハズの金融資産や年金はチャラ。やれやれですな。そういう政治家を選んだ自業自得でもありますが。