中央銀行のリスク負担能力

http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index490.html
深尾光洋 慶応大教授によれば

実質的なゼロ金利政策を解除して、金利を引き上げるためには、次のいずれかが必要になる。
(1)大量の売りオペにより、日銀当座預金を必要準備額の8兆円弱まで押し下げて、短期市場金利を引き上げる。
(2)日銀当座預金に対する付利を現在の0.1%から、金利の誘導目標である1~2%に引き上げて、市場金利を同じ水準まで引き上げる。
 上の(1)の場合には、国債の大量売却が必要であるが、その場合には金利上昇で価格が低下した国債を200兆円以上売却する必要があり、日銀は巨額の損失を被る。(略)
 上の(2)の場合には、日銀は巨額の利払いを続けていく必要がある。(略) 日銀の金融資産には低利回りの長期国債が大量に含まれるため、日銀の利ざやがマイナスになる可能性も高く、その場合には、日銀は政府からの補助金なしでは経費さえまかなえない状態に陥るだろう。

いずれも困難だということはわかる。
(1)の場合、長期金利が大きく上昇すると日銀が保有する国債を大幅な割引価格で売らざるをえなくなるが、保有する国債を全て売り払っても市中のベースマネーを吸収できない!ということもありえる。B/Sがグチャグチャな中央銀行の銀行券を人々は受け取りたがるだろうか?、少なくとも為替市場では誰も受け取りたがらないだろうなあ。グローバルにみて紙くず同様となった紙幣は国内でもだれも受け取らないだろうなあ、きっと。そうなると、国内は貨幣不足で、かつ、政府はプリンティングマネーせざるをえない状況なので、典型的なハイパーインフレの条件が成立してしまうのでは...。
(2)の状況となる場合、政府も利払いに窮している状況ならば、政府からの補助金は期待できないので当座預金に対する付利は出来ないのでは....。
こういう経路で「預金封鎖&新円切り替え」をせざるをえない状況に追い込まれるのかもなあ。