プロパガンダ 5/28

http://www.fujimaki-japan.com/takeshi/2013/05/post-185.html

インフレ政策を取れば「株価の上昇・不動産の上昇・円の下落・長期金利上昇」が起きるのは経済学上、当たり前である。だから私が主張していた15年前にとっていれば極めて強力な景気対策だったのだ。その時であれば「量的緩和」などという「ハイパーインフレ」を起こす非常に危険な政策でなく「円安政策」でインフレを起こせたのである。

しかし、今、インフレ政策を行う問題は、この15年間に国の累積赤字が3倍の1000兆円にもなってしまったことだ。ここまで借金が大きくなると、よい金利上昇(=景気回復による金利上昇)が、悪い金利上昇(=財政破綻を懸念しての金利上昇)を誘発してしまうリスクがある。景気上昇で当然おこるべく長期金利上昇(=支払金利の上昇)が財政破綻の誘因になってしまうということだ。

それでは困るので、黒田日銀は「発行国債の7割を日銀が買い取る」という形で長期金利の上昇を抑えようと企てた。しかし、経済原則に反する努力は無駄に終わるのは当たり前で、一度0.3%に下落した長期金利が1%に上昇した。日本の財政状況が世界中でも特出して悪いことは世界中の投資家に周知の事実だ。ここにいたって、財政破綻に伴うトリプル安(株・円・長期債)を怖がって外国人がいち早く逃げ出した、というのが私の分析である。

株価が下落を続ければ長期金利は落ち着くだろう。しかし株価が下落するのだからアベノミクスは終わりだ。逆に株価が上昇し始めると債券価格が下落して、又、株価を冷やす。そういう意味で最近の株式市場と債券市場の乱高下は「アベノミクスの終わりの始まり」かもしれないと言っているのだ。

と、アベノミクスに関する藤巻さんの明快な見解。
日銀が国債を買いまくれば需給で金利は下がるが、マネタリーベースが増えるから市場はインフレを織り込む。政治が財政健全化を目指す様子も見えないから、良い金利上昇が起きれば、市場は悪い金利上昇も織り込み始める。

本来なら株価が下がれば長期国債は買われる(長期金利は低下する)はずなのに、ほとんど国債価格は動かなかったのだ。株式市場も国債市場の参加者も、怖くて手が出ないのだろう。となると今後の機関投資家の資金は、株にも国債にも向かわず、日銀にある民間金融機関の当座預金口座に資金が寝ることになるのだろう。

「マネタリーベースを急増させて景気を回復させよう」としたのに、「景気が回復しないがゆえにマネタリーベースが増える」という笑えない珍現象が起こるのかもしれない。

だから藤巻さんは「為替レートの経路を使え」ですが、為替レートの効果は相変わらず認識されていないようで...。