ど真ん中を見逃し三振した話。

儲けそこなった話です。

儲けそこなうのはいつものことですが、この件は悔しかった。やっと癒えてきましたが今度は逆に教訓を忘れそうなので書き記します。

2003年に、ITバブル崩壊の谷も終わりインテルのCPUもまた売れるだろう、じゃというわけでパッケージの基板を作っているイビデンミニ株でちょっとだけ買いました。でもその後インテルからの受注が増えたのは新光電気工業で、残念に思いつつ、ほったらかしていました。

ここで洞察が足りなかった!。 2004年ごろのことです。

当時、半導体のパッケージはQFPからPBGAに移行期でした。半導体の集積が進むとともに半導体チップに出入りする信号数が増え多くの信号を引き出せるPBGAの需要が増えつつあった。仕事でこのへんになじみのある私はこのトレンドの変化に鋭く反応しなきゃいけなかった。インテルだけではなくディジタル家電でもPBGAを使い始めたいましたから。

イビデン、新光、日本特殊陶業はチャンスでした。新光と特殊陶業は当時PBRも低かったと思います。でも、見逃しちゃったんです。情けない。

さらに、PBGAの基板の樹脂材料には三菱ガス化学のBTレジンが高シェアで使われていることも知っていました。でも高シェアの理由がわからず、日立化成も見かけ上良く似た基板用樹脂作っているし...とすごしてしまいました。

実はその後の調査で、BTレジンは他の樹脂よりも硬くワイヤーボンディング(シリコンチップと基板とを金線で接続すること)のプロセスウィンドウ(機械動作時の各種パラメータの設定範囲)が広いことがわかりました。つまり、組み立て速度を上げたり、信頼性を稼いだり、より微細な加工をやり易いということです。こういう商品を持っている会社は強いですね。PBGAの生産量が増えれば三菱ガス化学もチャンス、というわけでした。

疑問に思ったらさっさとリサーチしろ、教訓でした。

ソロスの相棒だったジム・ロジャーズは半導体がアナログからディジタルに移行する時期をとらえ大もうけしたそうです。彼は様々な業界紙を片っ端から読むというハードワークをこなし産業構造の変化を捉え先回りして買ったとのこと。

会社の仕事があるサラリーマンには様々な業界を調べまくる時間はありませんが、せめて自分の関係する業界とその周辺の産業構造の変化を捉え、ちゃんとヒットを打ちたいものです。お金が儲かることも重要ですがそれ以上に変化を見出しその作用や影響を正しく推測できるようになりたいものです。

各社の株価
イビデン http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4062.t&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on
新光電気工業 http://quote.yahoo.co.jp/q?s=6967.t&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on
日本特殊陶業 http://quote.yahoo.co.jp/q?s=5334.t&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on
三菱ガス化学 http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4182.t&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on
逃した魚は大きい。(イビデンだけはちょとだけ持っていますが...)