日経 十字路 「非正規雇用の増加と格差問題」

今週の経済週刊誌は3誌とも給料や低賃金労働の特集でした。
さて、少し前の日経に菅野雅明さんがこのように書いてらっしゃった。

正規雇用の増加という格差問題の解決は正規雇用者の過保護規定を変えることが基本だ。

これはミクロ経済学のテキストに出てくる最低賃金制度の例とよく似ていますね。


円高で日本の賃金がグローバルにみて割高になったが、円高に見合うほどの労働の付加価値があったわけではなかろう。ならば、経済はマクロ的に見て賃金を下げるようグローバルなアービトラージが作用する。200円/ドルが100円/ドルになったからといって給料が半分にわけではない(下方硬直性)。しかも会社は社員のモノだったり既得権を重んじる文化で賃金を維持しようとするので、弱い立場だったり運が悪かった人から職を失ってしまう。グローバルアービトラージは経済の弱いところを衝いたといえるかもしれません。


ところで、藤巻さんは円が強すぎるとおっしゃる。アジア通貨危機のとき円がそのまますーっと200円ぐらいまで安くなったらどうなったでしょうか。ここまで低賃金労働の問題は生じなかったのでは。その代わり物価高かも知れませんが...。この場合グローバルアービトラージは高付加価値の人の賃金を引き上げる方向に作用するので、最終的には格差はやはり広がるかも知れません...。でも、給料が下がるよりも上がるほうが気分的に明るくなれる(前向きにガンバローという気分になれる)ので構造改革は進みやすいかもしれません。


こういう意味もあり、「通貨政策は重要」(藤巻さん)なのかも。