要約 日経経済教室 12月1日 by 菅野雅明さん 他
実効為替レートはこの7年おおむね円安傾向をたどり現在プラザ合意後最安値圏にある。内外金利差拡大のもとで市場に円安期待が定着し、円を売り高金利通貨に投資する円キャリー取引(円キャリートレード)の増加で円安の自己増殖(円キャリーバブル)が始まっている。
円キャリー取引の例
日本の個人投資家の外債・ファンド投資 | 30兆円 | |
為替証拠金取引 | 1-2兆円 | |
海外の仕組みローンとヘッジファンド | 数兆円 | |
合計 | 40兆円 |
円キャリーバブルで参加者全員が利益を享受してきた。
円キャリーバブルは日銀が世界中に流動性を供給していることにほかならない。世界経済下ぶれ懸念局面では世界景気の下支えになるが、インフレ懸念時には円による流動性が金融引き締め効果を弱めかねない。
円キャリーバブルの崩壊の契機
円キャリー取引が減少すると
円キャリーバブル拡大局面では参加者全員を幸せにするが、バブルがどこまで膨張しどこで崩壊し後の痛みの程度はバブルが崩壊してみないとわからない。政策当局は大幅な円高ショックとそれに伴う経済への悪影響を最小限にする義務がある。市場の期待を穏やかに誘導して円キャリーバブルを軟着陸させるべきだ。
日銀は市場の期待に働きかけ、円安期待を徐々に変化させることが求められる。市場へのショックを最小にするためには、毎月0.005%ずつ利上げする政策が望ましい。景気が上ブレすれば利上げ幅を拡大し下ぶれすれば利上げを中断すればよい。
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さて、この為替水準はキャリーバブルでしょうか、それとも2.5倍に増加したベースマネーを反映する過程でしょうか。