アラン・ブラインダー教授 on 週刊東洋経済

今週の週刊東洋経済は 「落ちる中間層 ワーキングプアよりも深刻なホワイトカラーの没落」 といういかにも売れそうな特集で、買い遅れた私はやっと今日入手しました。

今春 「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」, 「フラット化する世界(上), フラット化する世界(下)」 を読み認識を大修正し個人的な人生戦略を見直し軌道修正中の私としては、アラン・ブラインダー プリンストン大学教授(元FRB副議長)のインタビュー記事(48 page)は Undercover素人Economistoとして見逃せません。

フラットな世界を経済学的に表現すれば「労働が貿易可能になる」ということといえましょう。(私の経済学の理解で)貿易理論を流用すると、オフショアリングで労働を貿易する(仕事をグローバルに再配置する)ほうが双方とも最終的にはより豊かになる、ただし、ある特定の個人を見ると踏んだり蹴ったりになる人がでるかもしれない、と言えましょう。


ブラインダー教授の見解 (私の要約)

オフショアリングによって1人あたりのGDPという点では原則として全ての国が受益者となるはず。けれども各国において全てのグループが勝者になるわけではない。

豊かな国々の中では
(1) 生産高や国民の幸福という観点ではオフショアリングを許容する国が最も大きな利益を得る。逆にオフショアリングの流れに乗らず貿易の利点を取り込もうとしない国は最小の利益に甘んじることになる。
(2) 豊かな国でオフショアリング可能な仕事に就いている労働者の失業といった移行コストを考慮すると、英語圏の国の国民が最も厳しい移行期を経験することになる。

日本やドイツは国外で日本語やドイツ語を話す貧しい国を見出せない。したがって、オフショアリングの進行は
英語圏 > 非英語圏の欧州 > 日本

ひとつの国の中では、どんなスキルを持ったグループも敗者となる可能性がある。敗者となるのは「機械的なサービス」を提供する職に就いている人々。サービス業のオフショアリングは政治的課題になりやすい。

日本企業は言語の点でサービス業のオフショアリングに向かう可能性が低く、それゆえ国際的に不利な立場(苦境)におかれる。

日本では労働者が企業から企業へ簡単に転職することはないが、企業内で新たな仕事を担当する。この点で柔軟性に富んでいるとも言える。

究極的には国々の間で労働力が再配分され、すべてがうまく収まることになるだろうが、移行期は長期にわたる。労働力の柔軟性が高ければ高いほど移行は依りうまく乗り越えられる。が、移行に要する時間はとても長く*1たいへんな痛みを伴うものとなるはずだ。

(要約終わり)


言語の広がりが貿易(オフショアリング)の広がりを規定するという観点になるほど!と思いました。教授の見解は教科書の貿易の章に書いてあることそのままですね。

keyword オフショアリングの恐怖, 第3次産業革命

*1:教授は20年を示唆