宝島5月号(no.658)の藤巻さん

私なりに要約すると、

キャリートレードは幻想に過ぎない。
今後の為替の要因は、個人の外貨投資。個人投資家が国内の低金利に嫌気がさして高金利の海外市場に流れている。為替証拠金取引のようにレバレッジをかけて外貨投資をする個人もいる。日銀が利上をしても相変わらず4%以上の金利差がある。金利差が縮小するとは考えられない。
経常収支 = 貯蓄額 - 投資額
個人の貯蓄額は年々縮小傾向にあり、景気が回復すれば企業の投資がどんどん増えるゆえ、経常収支の黒字は縮小し赤字に転ずる恐れがある。
米国の国力がまだ強いということを考えると、

ユーロは30年後も存在しているかどうか疑問に思う*2


今回改めて注目した点は、(藤巻さんは以前から米国金利は現水準よりも高めをプロパガンダしていましたが)、藤巻さんは米国の短期金利長期金利ともに更に上昇すると見ていることです。

いかなる理由で藤巻さんはそう考えるのでしょうか、私なりに考えてみます。


名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率 という観点からは

  • 経済が強く投資案件がいっぱいで資金需要が強くなる
  • 市場は将来のインフレを予測する

ということでしょうか。


また、金利はその基礎が国債の売買で決まると考えると、金利上昇とは

  • 債券を売りたい人が増える
  • 債券を買いたい人が減る

ということでしょう。これまで米国債を買っていたのは米国人の他に東アジアの政府や中央銀行と言われています。
中国の投資会社が経常黒字の還流先を米国債以外に広げるならば買い手が減ることで金利上昇要因、
日本の経常収支が減少〜赤字となる(資金不足)ならば、対米債券投資は減少、買い手減で金利上昇。


金利は経済の中心ともいえる数値です。またアメリカ経済は世界経済の重心でもあります。今後、米国金利について考えていこうと思います。


keyword: 藤巻健史, 米国金利, 金利上昇

*1:長期の固定金利ものは今後の金利上昇でキャピタルロスをくらう恐れがある、変動金利短期金利ものは今後の金利上昇を享受できる。

*2:私はこんな風に解釈しています。人間が完全に自由に移動できない状況で、国をまたがったおカネの再配分ができない状況で、各国が独自の金融政策を放棄するのはつらいことだろう。アメリカは人が移動するし、日本では税金で国内でおカネを再配分する。