エレクトロニクス・エンジニア給与 日本 752万円、米国 1250万円

エレクトロニクス業界の雑誌 EE Times Japan (http://www.eetimes.jp) 11月号に、日米のエレクトロニクス・エンジニアの給与・意識調査という記事があった。
いくつかの調査結果をピックアップすると、

質問項目 日本 米国
平均年齢 43.2 44.5
平均年収 752万円 1250万円(115円/$換算)
平均勤務時間 時/週 51.7 46.6
過去1年で給与増 38% 75%
過去1年で給与減 20% 3%
自分のキャリアに満足 57% 85%
自分の子供もエンジニアになってもらいたい 47% 71%
会社はエンジニアを尊重している 53% 78%
自分の状況は他の職業より上 44% 73%
会社の技術は最先端 39% 68%
同僚エンジニアの技術は最新 36% 72%
会社は革新性や創造性に力を入れている 44% 72%
会社はエンジニアの革新的成果に報いている 29% 62%
会社はマーケット指向である 52% 83%

「ものづくりの日本」のハズなのに、ものづくりを捨てたといわれる米国に比べ安い給料で長時間働き、キャリアに不満で誇ることもできず、技術も陳腐化している、とデータは語る。 そして慢性的人手不足とのこと。 「もう終わりだな」と思ってしまった。

給料が高ければ人手不足にはなるまい。 でも払えないということは、会社が稼げないということじゃないか?。 先端技術から遅れると、高値で売れない・安く作れない・生産速度が遅いとかで、利益を上げることは難しいだろう。 会社がマーケット指向じゃないとすると、先端技術でも顧客に高価格で買ってもらえず逆に買い叩かれたりで、儲けにくいだろう。

エレクトロニクス業界という点を鑑みると、最先端は相変わらず米国が走り、すぐに台湾勢が中国での大量生産で薄利多売の商売を仕掛け、日本ははさまれて苦しんでいるということか。 米国は最先端技術とかマーケット志向とか頭を使って儲け、日本が体を使って仕事をしていると、低固定費・低コスト・薄利多売の台湾勢等に市場価格を引き下げられ、日本勢は全然儲からない → 給料も出ない → 若者に不人気・人も来ない → 長期下落、こんな状況かなあ。

このデータから見ると、日本では頭を使わない(最先端やマーケットに力を入れない)から自業自得じゃないか?。 かつて高度成長時代からバブルまで体を使う仕事のやり方で成功したから会社に頭を使う遺伝子が無いのかな? たぶん、そんなところでしょう。

実は、私、エレクトロニクスに関係する仕事をしています。 上のアンケート結果にそんなに違和感ありません。 でも、そう簡単には終わらないぞ。

頭を使わず体を使い低生産性に甘んじていれば、グローバルエコノミーでは中国・インドのエンジニアの人件費にアービトラージされてしまう。 アメリカは誰もまだ手を出していない先端領域をマーケッティングしながらやっているから技術を高く売れる。 いくらか経済学をかじったおかげで構図が少しは見える(ような気がする)。

頭の悪い会社*1にはそんなに頼れないので、自分の頭を必死で使おう。「けものみち*2、私、嫌いじゃないです。

*1:それぞれの人は優秀なのに集団になると何故こんなに頭悪くなっちゃうのでしょうか?、不思議です。

*2:ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)