ジム・ロジャーズがグリーンスパンの金融政策を批判する理由は何か?

雑誌Voice 12月号、またそれ以前の別のインタビューでもジム・ロジャーズはグリーンスパンFRB議長の金融政策をケチョンケチョンにけなしていた。 12月号ではバーナンキFRB議長も前議長の同類扱い。
さて、ジムが批判する理由は何か?
まず、グリーンスパン風政策(今日の中央銀行の政策)を整理すると

  • マーケットが金融緩和をうけて調子に乗りすぎているときに金利が上昇するとマーケットが暴落する
  • 資産価格の暴落をくらった金融機関等・機関投資家が負債で運転資金を調達しようとしても貸し手が消え、流動性危機が起きる
  • 流動性危機が金融市場全体に広がると更にパニックが大きくなりかねない
  • そこでFRB流動性危機が起きないよう(借り手が必要なだけ借りられるよう)お金を供給する(市場から債券を買いお金を支払う、利下げする)
  • その結果、流動性危機を回避できる

その結果

  • 流動性危機回避後、お金を吸収すべき時期に利上げが遅れ、おカネがジャブジャブになる
  • 人々はFRBが利下げで助けてもらえると思うようになり、過剰なリスクテイクするようになる
  • ジャブジャブなおカネで過剰なリスクテイクをしてバブルが成長し、はじけ、資産価格が暴落する
  • そうなると、FRB流動性危機回避のため再び市場にお金を供給して...。

これを繰り返しているうちに増加したマネーサプライが実体経済にインフレ(とバブルと通貨下落)を起こし、人々のマインドに織り込まれたインフレがインフレを悪化させていく。 マネーサプライの増加でバブルはだんだん大きくなり、最後には手におえない崩壊・恐慌へつながりかねない。
Voice 12月号のインタビューからうかがえるジムにとっての経済のあるべき姿は、「資本を増やし人々がより豊かな生活を送ること」と見るならば、バブルとパニックの繰り返しとインフレはナンセンスで、借り入れを使いすぎた過剰なリスクテイクは割に合わないことを人々に思い知らせるためにも、多少の資産価格の暴落とそれが引き起こす流動性パニックを容認すべき、と考えているのかも。 時々(周期的に)パニックが起きることを人々が織り込んでいれば人々は自己資金(資本)を厚めにするのでパニックはおきにくくなる、と考えているのかも。 適正な金利水準はFRBの水準よりも上と考えているのかも。
藤巻さんはFRBは経済を巡航速度に減速するために金利を引き上げるハズと見ていた(ように思える)。
善悪をストレートに表現するジム、あまり出さない藤巻さん、表現やポジショントークの違いはあるが同じような見方をしているのですね、きっと。