証券税制と資本主義

PALCOMさんとrennyさんが朝日新聞掲載の読者の声(証券税制の優遇措置廃止支持の意見)

1.額に汗して働く者が果実を得るべきだ。
2.株式投資家は額に汗して働いていない。
3.株式投資家は果実を得るべきでない=証券優遇税制の延長反対

についてブログで取り上げています。
私なりに考えてみました。 重要なことは何だろうか?
子供が肺炎になってしまったら
今: 医者に抗生物質を処方してもらう、気をもむが治る
昔: 神社でお百度参りをする、子供の体力と運次第
抗生物質が私たちのところに来るまでの道のりはどうっだったか。 たぶん、多くの薬学者が長い間抗生物質を探し求め、多くの化学者が長い時間それを安定に生産する方法を探し求め、多くの医学者が処方の研究や臨床試験をしたにちがいない。 その活動をささえる金は誰が出した?。 国立大学や公立病院の医師の給料は税金かもしれないが、製薬会社の支出は製薬会社の所有者(株主)が、薬の売上から得た利益を再投資として支出したものですよね。 長い投資(支出)の末、新薬を開発できれば莫大な売上と利益となり株価が上がるが、新薬に結びつかづ支出しただけで終わり株価が下がる。 新薬開発投資の資金を負債で調達するとどうなるか、借金を返せるかどうかわからない、そもそも怖くてだれも貸さない。 こう考えると、株主は社会が豊かになるのを支えている
高度成長のとき日本がキャッチアップしていた頃は外国にある技術を大いに参考にできたので、政府が仕切って国民の預貯金を銀行や財投経由で融資すれば低リスクで資本を集積でき、豊かになれた。 だから預貯金と融資(負債による調達)がメインだった。 これが大成功したのでそれが常識として人々の意識に刷り込まれていても不思議ではないでしょう。 でも、成熟した今日ではそういう「楽勝」な投資フロンティアは消えた。 政府にはわからないし、銀行もわからないし手を出しづらい。 政府は国債を発行し間接的に国民の貯蓄を財政赤字経由で投資したが、うまくいったかなあ。
フロンティアが見えていて、そこを開拓する意思があって、経済(人々)を豊かにできる可能性があり、でも資金が不足する企業家にリスクをとって資金を出せるのは株式投資ですね。
だから逆に、株式投資家をいじめて投資意欲を挫くと豊かになれない、となります。 上の意見は「私はもう豊かにならなくてもいいです」と言っていることに等しい、でも本人は決してそうは思っていないでしょう。 実は私も最近までこういう関係を理解できていなかった。
ジム・ロジャーズは明確です。http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20071110
高度成長のころは成長の成果の配分が大切だったかもしれませんが、今はどう成長するかにもっともっと注目しなきゃいけないのでしょう、きっと。