会社は誰のものか?

私はシンプルに商法どおり株主のものだと思います。

企業価値は企業の将来にわたる期待キャッシュフローの正味現在価値(NPV)といえる。 澤上さんや山本潤さんや米国の本によれば市場(個別企業のファンダメンタルズを見るマーケット参加者たち)は十年ぐらい先まで見ているそうだ。
長期の期待キャッシュフローを織り込んだ企業価値を最大化するためには

  • 顧客を大切にしなければいけない、愛想をつかされたら買ってもらえない
  • 取引先とも密接な関係を気づかねばならない、いまどき自社だけで全てをできない
  • 従業員も大切にしなければいけない、さもないと長期的に優秀な人は誰もいなくなる
  • 地域社会に嫌われるような会社が末永く続くか?

日本のように互いにルールを守るほうが得をする社会では、市場を通じて顧客・取引先・従業員・地域社会との関係は企業価値に織り込まれると私は思う。 つまり、会社は株主のものであっても、企業価値を最大化するという目的を通じてステークホルダーは適切に扱われる*1ハズ。

経済産業省の高官が引用したブルドックソース事件での東京高裁判決文では、この市場を通じたメカニズムが認識されていないように思える。 ひょっとしたら高官氏も市場を通じた仕組みが嫌い?。 市場が働かないほど政府の出番(究極的にはカネの流れを決めること)は多くなる。

企業価値を向上するために従業員を大切にしたいが金が稼げないというケースもあろう。 産業構造が変化してその会社の事業の価値が無くなっちゃったとか。 そういう場合には、残念だがその会社を清算し、会社で使っていたリソース(従業員とか固定資産とか)をスムーズにリソースを欲する会社に移転したほうが日本経済にプラス。 だから政府にはこういうところで頑張って欲しい。 そういうときにキャピタルロスを引き受けるために株主がいる。

高官氏は従業員は40年働くというが、意思決定するのはあと40年働く人ではなくてあと2〜3年の人のケースも多いのではないか?。 こういうところにモラルハザードは起きがちであり、一概に従業員だから長期の視点というのはチョッとあやしいかも。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/yanai.cfm?i=20080129c9000c9&p=1

このところネガティブな内容を書いていますが、現状を自分なりに整理し考え(自分自身の戦略)をまとめる過程なので。

*1:優遇されるという意味ではない