3/3 日経 経済教室 「運営技術高まる金融政策」 by 若田部 早大教授 より

米国の実質GDPの変動は85年を境に急速に小さくなった。 これを「大鎮静」という。単なる幸運という説もあるが構造変化という説もある。構造変化説には金融政策の技術の向上も含まれる。金融政策になにが起きたのか?

  • 貨幣の重視 (フリードマン的観点)
  • 物価の重視、長期的には失業とインフレの間のトレードオフは無い
  • 期待の重視、分析ツールの充実
  • 名目変数へのコミットメントの重視
  • 金融市場と景気循環の関係の重視、負債デフレーション理論の見直しとか情報の非対称性による金融市場の摩擦の影響

株価・地価などの資産価格の変動はマクロ経済の変動要因になりえる。企業価値や家計・企業・銀行のバランスシートを通じて景気に影響をおよぼす。為替レートの変化も経済に対する影響は大きい。このように若田部教授は総括する。

中央銀行は資産価格に対応すべきか? 資産価格や為替レートやバブル防止を”目標”にするのは無理があるが、資産価格を全く無視するわけにはいかない。 それゆえ、原則は、「資産価格の変動が物価安定の追及に有益な情報をを含んでいるなら、その限りにおいて中央銀行は資産価格の変動に対応すればよい。すなわち、資産価格の急激な下落が将来にわたる景気後退と物価下落を示唆するならば中央銀行は金融緩和政策をおこなえばよい」。

そして最後に若田部教授も日銀総裁人事のありように困惑のご様子。

最近の理論の世界では「資産価格が実体経済(景気)に大きく影響する」ことは確立したみたい、でも論壇やマスコミでは取り上げられないですね。ウケない(売れない)からかな?。