高橋氏と与謝野氏

Baatarismさんが高橋氏と与謝野氏の論点をまとめている。
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20080722/1216698844
両者とも実質GDP成長率を2%と想定する。 成熟した先進国の実質成長率はせいぜい3%と言われるから人口減少の日本では2%というのは妥当なのでしょう。
両者の違いは、高橋氏がインフレ率を2%、与謝野氏がゼロインフレを目指すこと。
2〜3%のマイルドなインフレ率は、デフレにならないためのマージンであり、社会の変化を円滑にする潤滑油のコストといわれ、各国の中央銀行は政策目標としている。 このことを与謝野氏が知らないハズはなかろう。 また2%のインフレを「真面目にコツコツ働いて貯蓄をしている人たちの富を目減りさせ、収奪しようとしているのだ」というのは不自然すぎる*1
実質成長率2% + インフレ率2% で 名目成長率4% の経済では名目長期金利は5%になっても不思議ではない。
政府の累積赤字を800兆円とすると毎年の利払いは

金利 利払い
1.5% 12兆円
2% 16兆円
5% 40兆円

となる。 ちなみに毎年の税収は40兆円程度、景気が良くても60兆円程度とすると、インフレを反映して長期金利が上昇すると税収のかなりの部分(or 大半)が利払いに消え、政府の活動に使えるカネが激減して身動きできなくなっちゃう。
ここが財務省や与謝野氏が2%のインフレを嫌う理由ではないだろうか。
日本のGDPを約500兆円、そのうちの6割が消費とすれば、消費は300兆円。 消費税を5% Upすれば税収は15兆円増える。 ゼロインフレを維持し長期金利を押さえ込めれば累世赤字の増大にはストップできそうなところまでくるのかもしれない。
しかし、ゼロインフレ政策ではデフレになりやすく、円高がデフレ圧力となり、名目賃金や名目資産価格に下落圧力がかかるから、痛みで人々のマインドが萎縮して実質経済成長しづらいと思う。 それに経済が元気になっておカネが回り始める長期金利は3%、4%、となるだろうから、その時点でやはり利払いに窮してしまいそう。
結局、藤巻さんの「増税 + 大胆な歳出削減 + 円安&資産インフレで実体経済を刺激しつつマイルドなインフレ」という政策ミックスか、財政破綻&ハイパーインフレで累積赤字解消 のいずれかか?
藤巻さんは後者に重きを置き始めたように見えますが....。

*1:デフレはたまたま弱い立場にいた人をボコボコにすることと比較すると