「円安メリット大なり」

朝日新聞Beの「新フジマキに聞け」で藤巻さんは「円安メリット大なり」と次のように書いている。

株価が予想に反して急落し、それも円高のせいで米国株よりも日本株の下落幅だ段違いに大きかったのが痛かった。
ところで円高で泣くのは投資家だけではない。 輸出産業もそこで働く日本人労働者も泣くのだ。 円高は、円で給料を得る労働者を賃上げしたような効果をもたらす。
(中略)
円高が続く限り外国人に仕事を奪われるのだから抜本的対策はとりにくい。 円安は労働市場にも必要だ。 もちろん私の財産増加のためにも、だ。

最後に藤巻さんらしいオチがありますが、グローバリゼーションで仕事が国境を越える時代には雇用と為替は大いに関係していると私も思います。 だから、ココでも藤巻さんのプロパガンダを私も応援したい。


ところで、土曜日のNHKスペシャル「どうする大量失業時代」を途中から見ましたが、雇用の悪化の本質(私見によれば)

  • デフレ、国内の需要の弱さ
  • グローバリゼーション

に対してどう立ち向かうかを議論しないことには、「何がより正しいか」を議論しても実際のところどうしようもない(なかなか解決に結びつかない)のでは?と感じました。
もちろん、正社員を守る法制度が失業率を増やすことはミクロ経済学の教科書にある最低賃金制度のページにあるとおりと私も思いますが、低賃金労働を必要とする理由はグローバリゼーションで日本の外でも生産できるようになり競争上コスト(賃金)を下げる必要があったからであり、円が日本の実力以上に高すぎるからでは?

米国の労働組合や農業団体は為替市場が自らの利益に直結していること敏感で政府によく要求を出す。
この点、日本の労働組合が為替にあまり関心を示さないのが私には不思議に思える。

おカネの配分をどうするかはとても重要ではあるが、日本経済のエンコ状態を何とかしないとおカネの配分を変えることはすごーく困難だと思う。 うーぱーさん id:uupa の日本と米国のGDPの推移のグラフをみていると日本全体ではちっとも成長していなかったことがよくわかる。
http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/u/uupa/20090131/20090131120948.gif


円を安くすれば全ての人が幸せになるか? そんなことはないだろうと思います。 グローバルに一物一価に収斂する過程にあり安価な労働力の供給が続く限り、賃金の格差は広がるのではないかなーと思います*1。 その調整を名目賃金の下落でやるよりは円の価値の調整でやったほうが、消費や投資が縮小しない・むしろ景気刺激的なので産業や雇用を生み出す方向に作用するから人々に優しいし、人々は楽観的・前向きになれるから改革もやり易くなると思うのです。

*1:私も日々もがき苦しんでいる...。