「急に売れ始めるにはワケがある」

日本が実体のあるモノのものづくりに熱を上げている間に、アメリカではITと近年の社会科学の成果を組み合わせ、サービスのイノベーションに力を注いでいたことを、痛感する今日この頃。


急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)


個人的な要約メモです。
社会的伝染の背景

  • 原則1 少数者の原則 --- 一握りの例外的な人々(社交的、活動的、知識、仲間内での影響力)の努力で伝染が広がる
  • 原則2 粘りの要素 --- あるメッセージが記憶に粘りつく
  • 原則3 背景の力 --- 微妙で予測しがたい要素が我々(人間)の行動に影響する


少数者の原則

  • ネクター(媒介者) 友人や知人を作る並外れたコツを体得している一握りの人。 弱い絆で多くの人とつながっている。 交友関係はピラミッド状で、その頂点にいるのがコネクター。 コネクターを中心に、six apartの関係ができている。 発想は製品がコネクターに近いほど、人と機会が増える。
  • メイヴン (つうの人) 情報を集めそれを他人に教えたがっている。 口コミによる伝染を始動させる知識と社交的技術を備えている。 利害を離れた個性的で専門的な意見。
  • セールスマン 説得のプロ。 人々は説得されて行動を起す。 感情や気分を上手に表現できる人は他の人よりもはるかに感情の伝染力が強い。 カリスマ的な人は自分の感情を相手に伝染させることができる。


粘りの要素
のんのちょっとした、しかし、決定的な工夫で記憶に粘るようになる。
正しい状況に置けば誰もがうなずかざるを得ないような単純な情報の引き立て方がある。


背景の力
伝染はそれが起こる時と場所の条件と状態に敏感に反応する。
環境の特殊条件にちょっと手を加えると、状況を反転させ一気に傾かせることができる。
人間の行動は状況に大きく左右される。


150の法則 --- 小規模集団の持つ力
集団の中では、仲間の圧力や社会的規範などの伝染が始まるうえで決定的な役割をはたす要素に左右されやすい。
人間が一度に扱える情報量は限られている。 人間関係では150人がMAX。 150人以下ならば、規範なしでも同じ目標の達成に向かうことができる。
仲間うちのプレッシャー。 仲間が自分のことをどう考えているか、わかる・知っている。
他人を通じて情報を貯える(交換記憶)。 相手が何を知っているかを十分に知ること、相手の専門知識を信頼できるまで相手を知り尽くすこと、これができるMAXは150人。
伝染的な運動を生み出すには、まず最初に小さな運動体をたくさん作らねばならない。


何かが普及していく過程
導入者(イノベータ) → 初期採用者 → 初期多数派 → 後期多数派 → 出遅れ(ラガート)
ティッピングポイントは初期採用者の箇所にあり、キャズムは初期採用者と初期多数派の間にある。
ネクター・メイヴン・セールスマンは「翻訳者」であり、専門家された小さな世界のアイデア・情報を、一般の人たちにも理解できるような言葉に翻訳する。
イノベータが何か新しいことを試み、コネクター・メイヴン・セールスマンがそれを見て取り入れ、余分な細部をそぎ落とし他の部分を補強することでメッセージにより深い意味が出てくる。 これでメッセージが粘りを持ち、人々が置かれた状況下で人々を行動に向かわせるようになる。