不況の真因、「需要」にあり by 大竹文雄 阪大教授 日経朝刊5/4 経済教室より

素人の私は構造問題はいろいろ有るがマクロでみた需要不足・貯蓄過剰がデフレの原因と思っているが、大竹教授の見解でも

今回の不況が生産性ショックによって発生したと考える人は少なくない。 需要変動が不況の原因なら、需要を中心とする経済学に基づいて不況対策を考えるべきだ。

とのこと。


需要変動を重視している近年の理論

  • 阪大 小野善康教授 「守銭奴流動性選好」による不況理論
    • モノやサービスは消費すればするほど追加的な満足は低下し、一定量以上消費できなくなる。
    • しかし、お金は(何かを買うのに利用できるという)流動性を持つがゆえ有れば有るほどうれしい。
    • こうしたお金への選好(流動性選好)の特殊性により、人々は消費せずお金を貯めすぎる行動を起こす。
    • 株や不動産にも流動性と「持てば持つほど嬉しい」という特性があれば人々は保有したがり、価格が上がる。 バブルの発生。
    • 株や不動産を保有することの嬉しさ(値上がりの期待)がなくなるとバブルは崩壊する。
    • すると人々はお金だけを持ちたがる。
    • お金を持ちたがるとお金の値段は上がりモノの値段は下がる。 デフレの発生。
    • デフレになると人々は買い物を将来に先延ばしする。 そうなるとますますモノが売れず、失業が発生し、需要減少の循環が続く。
    • 株や不動産といった資産にも流動性の魅力があればバブル好況、そうでない場合は不況、人々の流動性選好が弱いときは完全雇用が達成される。
  • UCB アカロフ & Yale シラー 景気変動の原因は「アニマル・スピリッツ」にある
    • アニマル・スピリッツは、(1)信頼 confidene,(2)公平性 fairness,(3)汚職 corruption,(4)貨幣幻覚 money illusion,(5)物語 story という側面から成り立つ。
    • 信頼がなくなると金融機関を通じて資金が循環する金融仲介機能が崩壊し,需要の減少を招き景気が悪化する。
    • 信頼を強めたり弱めたりするのが、もっともらしい「物語」である。
  • UCLA ファーマー 「アニマル・スピリッツ」 労働市場において将来の資産価格への「信頼」が作用するモデル
    • 資産価格が高くなるという信頼が存在する場合には失業率が低く、逆の確信があると失業率は高まる。


資産価格の上昇(資産インフレ、資産インフレ期待)は重要(需要側が原因の不況対策の本質と私には見える)。
でも、日本では資産価格の上昇の効果が注目されないのだろうか。
大竹教授も財政支出となってしまう...。 私も緊急避難としては重要と思うが...。