日経夕刊コラム「十字路」7月8日より

消費税増税先送り・社会保障費歳出抑制放棄・名目GDP成長率低下で、財政再建目標はほころびが見えている。 しかし長期金利は6月中旬以降低下に転じた。 こう事実を指摘して

(略)日本の場合は国債債務不履行になる可能性は極めて小さい。
それは「国内貯蓄が豊富である」「デフレ下では政府が紙幣を印刷することで債務不履行を回避できる」「投資家のホームバイアス(自国選好)が強い」ことだのによるもので、財政プレミアムの拡大には限界がある。
一方、長期金利の低下は利払い費を抑制するので、政府の財政赤字対策の優先順位が低くなる傾向がある。 増発された国債も民間の資金需要が弱い状況下、銀行が競って購入し安定消化が可能となる。

しかし、公的部門への依存が過度に高まる社会はいずれ限界に直面するだろう。 筆者は経常収支赤字化、インフレ期待の高まり、国民の政府に対する信頼感の低下がきっかけで「市場の反乱」が起き、長期金利が急騰する可能性がいずれ高まると感じている。

と論じる。
人々がデフレが続くと思うからこそ、家計は消費を企業は投資を控え、人々は現金・預金・債券で貯蓄に励み、長期金利が低く保たれるが、

  • 人々がデフレが終わると思えば債券の買い手が減り
  • 人々が貯蓄する余裕を失えば(すなわち経常収支の赤字化)債券を買う新規の資金が無くなり

長期金利は上昇するのだろうなあ。
リーマンショック以降の需給ギャップを埋めるべく政府が財政支出を増やすのは理解できるが、水面下で長期金利急騰の確率がじわじわと上昇しているが不気味。


そして今回のコラムでは次の見解が興味深い。

将来、可能性が高い直接税増税は、開放経済下では資本や有能な人材の海外流出を通じさらに税収を減らしかねない。

グローバル経済では世界中から優秀な才能を集めることで新しい付加価値を生み出すことが豊かさをもたらす原動力となるが、逆の政策をやっちゃいそう... という指摘。