星岳雄UCSD教授

金融の使命や役割は

資金の有用者である家計と、調達者である産業の双方の利益を最適化することにある。戦後の日本経済は預金の形で金融資産を銀行に集中させ、重厚長大産業に手厚く分配した。預金の金利を通じて家計には富を、設備投資の促進を通じて産業界には成長という恩恵をもたらした。

こうした間接金融が機能したのは、どこにお金を回せば収益が上がるのかが明白だったからだ。今は成長分野が分かりにくいので、限られた金融関係者ではなく、不特定多数の意見を反映する市場に資金配分をゆだねたほうが効率的だ。


金融は生き残れるか

金融は大きな危機のたびに進化してきた。米国で節目となった危機は、30年代初めの大恐慌と80年代の貯蓄金融機関危機。日本は90年代校本の銀行クライシスだ。それらをくぐり抜けて現在の金融仲介のモデルがある。「金融」は常に進化の途上だ。

今回の危機の教訓は、金融が信用の上に成り立っていることを忘れるべきではない,ということだ