日本国債市場の暴落に賭ける投資家たち

JGB(日本国債)の話題が急に増えてきた。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_17946#


巨額な累積財政赤字は政府が景気の悪さを何とかしようと毎年赤字予算を組み、一方国民が借金の返済や貯蓄に励んだ結果であるが、どうすればこうならずに済んだのか。 後知恵で考えてみる。

不況・不景気とは "供給>需要" という状況だが、需要が小さくなる原因は

  • 家計部門が消費を減らして貯蓄に励む
  • 企業部門が投資をしない

ということだが、

  • 90年代後半以降は人口動態的に家計部門がリタイア後のために貯蓄に励む時期となった
  • グローバリゼーションの進行と円高が国内での企業活動を割高にし、また資産価格の下落が、企業部門の国内での投資を消極的にした

というわけで、貯蓄意欲はあるにもかかわらず、国内に投資機会が無い(金利も低い)という状況を作り出した。こういう場合、貯蓄が海外に流出すれば、為替レートが円安になり、輸出と(割高感の解消による)国内への投資の復活で需給がバランスし、政府が無理やり需要して巨額な財政赤字を積み上げることも無かったのでは。

90年代後半には外為法改正で家計部門が外貨建て資産を購入しやすくなり、国内で投資しきれない過剰な貯蓄を海外に流す仕組みができたが、アジア通貨危機の際の政府の円買い介入でマーケットや家計部門は「円は政治的に安くできない」「外貨は危険、円が安心」と誤解し、投資機会が無い円で貯蓄しようとした。

こうなると、国内の需要不足で不況、国内の需給ギャップを輸出で解消しようとしても円高に苦しむ。

藤巻さんが、あの円買い介入を残念がったり、「おできに膿がたまった状態」と表現したり、03年の円売り介入を政府が民間の代りをやっているだけというのは、こういうことを意味してたのかなあ...。

ところで、あの円買い介入、必要性があったのかなあ。 あのまま円が安くなれば、流動性の罠に嵌る事も無く、こんなに財政赤字を積み上げることも無く、今頃そこそこ正常な経済だったのでは。 ひょっとしたら。