武者氏の「『円高デフレ』終焉」説

4月20日版の週刊エコノミストに武者氏が円高デフレが終り日本経済は強さを取り戻すと書いていた。
武者氏によれば、覇権国・米国の利害と意思で円高となりこれが失われた20年の原因とのこと。 もはや日本を押さえつけるための超円高は必要ではなく、中国異質論が台頭している現在では、中国経済の競争力を抑制し自己変革の圧力をかけ続けるためには隣国日本のプレゼンスの高まりが不可欠であり、日本経済の浮上が非常に必要になる、だから円は安くなり景気は良くなるという。
90年当時の購買力平価は200円/ドルだったのに対し、円レートは100円/ドルまで上昇し、内外価格差は2倍まで拡大した。こうした価格差は本来ならば円安で解消されるはずが、日本の場合は日本と海外との物価上昇率格差によってのみ解消された。このように武者氏は書く。ここで、本来の経路が何故作用しなかったかが重要と私は思うが、武者氏は何も触れない。 何も触れずに覇権国の意向とするのはちょっと飛躍しすぎでなないか。
武者氏によれば、日本は主要国を上回る生産性の上昇を実現しながら賃金を抑制したために単位労働コストを下げた、高コスト構造も変わったし、規制緩和行政改革も十分とは言えないが進んでいる。08年後半以降の円高金利差要因の円高と想定でき、米国景況感の回復と米国のゼロ金利解除の実現で円安が進むのではないか。 ならば、日本では高い生産性上昇率に基づいた賃金上昇が起こる。20年間の円高デフレの原理が逆方向に働く。とのこと。

「ペナルティ円高」のメカニズムが?のままでは単に「よもやま話」に過ぎないような気もする...。