円安政策が採用されない理由

bewaad氏が「アリフレ政策の政」として、日銀にてリフレ政策が採用されない理由を展開しており、私は、いたく納得すると同時に暗い気分にもなった。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100810/p1

要するにリフレ政策(っぽいこと)を志向する者は日銀総裁・副総裁としては不適格である、という理由で武藤総裁候補・伊藤(隆)副総裁候補は最終的に否決されたのです(手続的には、この衆議院本会議では可決されましたが、民主党過半数を占めていた参議院(当時)で否決されて通らなかったことはご記憶のとおり)。これを、日銀は今よりもタカ派(引締め志向)であるべき、という政府・国会のメッセージだと受け取らない方がどうかしています。

日銀が操っているのではないとして、なぜ政府・国会はこのような審議委員等の人選を続ける=リフレ政策を採用しようとしないのでしょうか。webmasterの考えでは、国民の多くがそう望んでいるから、ということになります。

で、経済学者を対象としたアンケートにおいて、最多数が日銀よりタカ派であり、次いで日銀と同じスタンス、その半分近くと大きく離れてハト派(≒リフレ政策支持者)という順

「優れた学者」ですら「マクロ経済学の基本」を理解しておらず、リフレ政策に反対する者が多いというのであれば、優れていない学者や、まして学者でない一般の国民のそれ以上の割合の者がリフレ政策に反対するのは自然でしょう(逆に、「優れた学者」の方が一般の国民よりリフレ政策に理解を示さないというのであれば、経済学者の存在意義って何? ということになります)。そうした状況が変わらない限り、審議委員等に陸続とリフレ政策支持者が任命されるとは想定し難いですし、仮に一部で言われるような日銀法改正法案が国会に提出されたとしても、可決されることもまた想定し難いです。万が一可決されたとして、その改正日銀法の下で定められるインフレターゲットは、現状を大きく変えるようなもの(前回のエントリの用語を使えば、期待を転換させるようなもの)にはなるはずがありません。

リフレ政策を取れば円は安くなるし、円安の手段としてリフレや金融緩和は有効な手段と私は理解していますが、国民や「経済学者」がリフレに反対するような状況では円安政策への支持も国民や「経済学者」の間では少数派かもしれない、と悲しい納得をした次第。
藤巻さんが以前著作にて「日本では経済学が通じない?」というような趣旨と書いていた記憶があるが、こういう状況を意味していたのか...。