週刊朝日 2011年1月7-14日合併号

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12222
特集が「勝てる国、ニッポン」で、その特集の直後に「日本経済は本当に破綻するのか」という細野さんとの対談で藤巻さんが悲観論を述べる。このチグハグ感がなかなかおもしろい。
内容は、細野さんが「良識ある大人」のコンセンサス(例えばプライマリーバランス論)を展開し、藤巻さんがそれに対しロジカルに反論するというもの。
興味深いポイントは

  • 10年間で家計部門の金融資産は1400兆円から1450兆円へ50兆円しか増えなかった
  • 銀行が民間企業から貸しはがしをしてその分を国債購入にあてた
  • 国内に新規の国債購入余力はもう残っていない
  • いずれ市場の反乱という形で長期金利が急騰する

というあたり。民間企業からの貸しはがしと別の表現にすれば

  • 民間企業の貯蓄努力
  • 民間企業の借金返済・負債圧縮
  • 民間企業のバランスシートの縮小

貸し出しが縮小する状況では日銀がマネタリーベースを増やしてもマネーサプライは増大しにくい。こういう状況下では家計部門の貯蓄を政策的に海外に流出させれば為替レートが円安になり、実体経済にプラスになるし、日本の株・不動産価格も上昇し資産効果が期待できる。こうなってデフレ期待が消失して国内のマネーサプライが増大し始める。これが藤巻さんの「楽観シナリオ」だった(と私は思う)。残念。