深尾光洋さんの日本の財政危機シナリオ

http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index251.html

(1 )選挙民を恐れる政治家が増税を先延ばし続けて政府の累積赤字が拡大する。
(2 )日本の金融資産の大部分を保有する50歳以上の高齢者層も、政府に対する信頼を徐々になくし、円から外貨、金、株式、不動産等に資金を移動し始める。
(3 )長期国債価格が下落し、長期金利が上昇を始める。
(4 )新規発行や借り換え国債の利払い負担急増に直面した政府が、発行国債の満期構成を短縮し、主に短期国債で赤字をファイナンスするようになる。この結果、将来の短期金利の上昇で、利払いが急増するリスクが増大する。
(5 )政府の債務不履行リスクの上昇に伴い、上記(2)の資金シフトが加速し、円安、株高が発生し、バブル的な景気回復をみる。またインフレ率も上昇し始める。
(6 )日銀はこれに対して金融引き締めを行うが、これで政府の利払いが爆発的に増大し、政府の信用がさらに低下する。
(7 )政府が日銀の金融政策に介入して、低金利を強制したり、国債の買い取りを強制したりすれば、インフレが加速し、政府の利払いはさらに増加する。
(8 )金利の急激な上昇で、変動金利の住宅ローンを借りている個人がデフォルト状態になる。また長期国債を大量に保有する銀行が巨額の損失を被り、政府に資金援助を要請する。

累積赤字の増大を懸念する人々が、徐々に円の債券・預貯金・現金から外貨建て資産や国内のリスク資産へ資産配分を徐々に移動することで、長期金利が増大する。 政府が短期の国債で資金繰りをするよになることで、「資金繰り」リスクが増大し、人々のリスク資産選好が増すことで、円安・資産インフレがおき、その効果で景気は急回復し、資産バブルが起き、ついでCPIのインフレが起きる。 CPIのインフレに対し日銀が断固利上げすれば政府は資金繰りに窮し、政府に遠慮すればインフレは更に進む。 短期金利が上昇すれば変動金利の住宅ローンで破綻が起き、長期金利が上昇すれば銀行の破綻が起きる。
マーケットパーソンの藤巻さんに比べれば、危機はゆっくり進行するという感じでしょうか。