週刊エコノミスト6/7

ニッセイ基礎研究所 はじ浩一氏
経常収支が赤字になることは貯蓄余剰の経済から貯蓄不足の経済に転換することを意味する。
経常黒字を支えてきたのは国内貯蓄。経常収支が赤字化すれば財政赤字は海外からの資金に頼らざるを得なくなる。
今年度予算では為替介入の原資の政府短期証券を含む政府の債務は997.7兆円の予定。地方自治体の債務も含めば、家計の金融資産総額1400兆円に迫る規模。
JGBへの信頼が揺るがないのはJGBが国内で消化されているため。
大震災の結果、経常赤字化の時期が早まる可能性あり。
海外投資家が為替レートのリスクを取ってJGBに投資するためには、JGBの金利が資金の出し手の国よりも高いことが必要。日本の長期金利は上昇し、現在よりもはるかに高くなる恐れが大きい。
今は低金利のため利払いは小さい。長期金利が上昇しても利払いがすぐに上昇するわけではないが、償還ごとに高金利での借り換えとなり、次第に利払いの負担が増していく。
投資家がJGBの元利支払いに不安を感じれば金利上昇は更に著しくなるだろう。その結果、利払いの増加・債務残高の増加が早くなり財政破綻のリスクを高め、更なる金利の上昇を招く。
長期金利が上昇すれば、民間企業の資金調達も高金利となる。その結果、(1) 資金繰り悪化、(2) 設備投資の採算悪化で投資をしにくくなる。民間企業の投資が縮小で日本経済の成長率が低下し、財政バランス維持が難しくなる。