週刊エコノミスト6/7 菅野雅明さん

経常赤字国転落という特集。
JPモルガン証券 菅野雅明さんのインタビュー記事よりメモ
2014〜2015年頃に日本の経常収支は赤字になると予測。
地震リスク・原子炉事故リスク・電力料金引き上げによるコスト増を避けるため、製造業の海外移転が一段と進むことで、構造的に輸出で稼ぎづらくなり、中長期的に日本の貿易収支の悪化は続く。
家計貯蓄率は高齢化の進展に伴い長期的に低下する。今、民間企業には潤沢な余剰資金がつみあがっているが、今後は国内外での投資が増大する見込み。一方、社会保障費は増大するばかりで財政赤字は拡大する。更に大震災の復興財源が加わる。 日本経済は政府支出の増大を民間貯蓄でカバーできず、赤字になる。
日本の経常黒字は実体以上に過大評価されている。財政問題を考える上では、経常収支から資本収支の対外直接投資分と海外法人での再投資分を差し引くべき。今後、対外直接投資が増えれば、財政赤字ファイナンス余力は減る。今後2〜3年で財政赤字を国内でファイナンスできなくなる可能性がある。
経常赤字国は経常赤字ぶんを海外の資金に依存することであり、海外投資家が要求する金利が求められるはず。少なくとも米国長期金利(3%前半)なみに跳ね上がるのを覚悟すべき。米国なみの金利でも、現在10兆円の利払いが30兆円まで膨らむ。37兆円の税収で30兆円が利払いに費やされることになる。
国債の買い手がつかなければ金利はさらに急騰する。
今回の震災をきっかけにインフレの兆しが見える。マクロ面では、復興需要が見込める反面、資本設備の毀損や電力供給制約で約20兆円の需給ギャップがかなり解消された。ミクロ面では外国人労働者の帰国による人手不足や、品不足による消費マインドの変化が見られる。
2〜3年後にリーマン・ショック級の危機が再来する可能性がある。引き金は米国の金融引き締め。米国の過剰マネーが新興国をバブル化しているが、利上げに伴い新興国からマネーが引き上げられ、バブルが崩壊する。ちょうど、日本が経常赤字になるタイミングかもしれない。輸出急減で不況となるときに財政出動しようにも国債を消化できず、日銀の引き受けが浮上するだろう。