榊原英資氏「日本破綻論者は極論を言っている」

http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20130225/146661/?rt=nocnt

その筆頭格が藤巻健史氏でしょう。

しかし、最近の彼の為替予測は、まったく当たっていません。ここ数年、彼は円が暴落すると言い続けていますが、冒頭で述べたように円高トレンドは今も続いています。

藤巻氏の日本経済に関する悲観的予測や円暴落説の主要な根拠は、日本が抱える巨大な累積債務です。

12年6月末の日本の家計の金融資産は1515兆円(対GDP比292.6%)で、家計の負債は356兆円(同じく68.7%)。以上を差し引きした家計のネット(正味)の資産は1159兆円で、対GDP比223.7%です。つまり、家計のネットの金融資産額は政府の債務残高を、まだ若干ですが上回っています。

こうしたこともあって、日本国債の92%前後は日本人が保有しています。家計の貯蓄はふつう銀行預金、郵便貯金、保険の掛け金の形で行われ、銀行、郵便局、保険会社などが国債を大量に購入するので、92%という数字になるのです。家計が間接的に国債保有している、という構図です。

そう遠くない時期に、日本の一般政府の債務残高は、家計のネットの金融資産残高を上回ることになります。債務残高が大きいのに、日本が財政危機にならなかったのは、家計の金融資産残高が大きく、かつ家計の貯蓄が間接的に国債の購入に回っていたからです。残高の逆転は、この構図が崩れていくことを示唆(しさ)しています。

ただし、そうなるのは少なくとも5年以上先の話で、その影響が顕著になるまでには、おそらく10年程度かかることになるでしょう。

という訳で、家計部門の資産選好が変わらなければ

日本人の貯蓄行動が、近い将来大きく変わるとは思われませんから、国債の需要は高いレベルで推移していくでしょう。

と主張。一方、

もっとも、繰り返しますが、現在のような状況が5年、10年と続いていくならば、6〜7年後、あるいは8〜9年後に日本の財政危機が顕在化する可能性は低くありません。この意味では、藤巻健史氏の懸念もうなずけます。

と、非常口はちゃんと確保したうえで

しかし、5〜10年先ですから、危機を政策的に回避することは充分可能です。歳出の削減か歳入の増加を実現すればよいのです。

多少の乱高下はあっても、500〜600円という極端な円安はもちろん、1ドル150円を超えるような円安は、しばらくはない──そう考えるのが常識的な見方だ、といえるでしょう。

と結論する。
この議論には2つ仮定があり

  • 仮定1 短〜中期的に家計の資産選好が変わらない、企業部門の資金調達意欲が湧かない。
  • 仮定2 中〜長期的には財政削減と増税が行われる。

仮定が破綻したら5〜10年ぐらいで日本は破綻する、と榊原氏は考えているとも読める。藤巻さんは、アベノミクスで家計の資産選好が変るし円が安くなれば企業は国内に投資するから資金需要も増えるから国に貸す金は無くなる、財政再建はこれまで出来なかったのに社会保障費が増えるときにはもう不可能、と見ているといえましょう。
本を売るため?の主張をしつつちゃんと非常口を確保するあたりはサスガです。