日経電子版マネーブログ カリスマの直言4/25

http://www.nikkei.com/money/column/moneyblog.aspx?g=DGXNMSFK2203S_22042013000000
財政赤字は増える一方なので

この悲惨ともいえる累積赤字額から出てくる私の結論は「日本は財政破綻する」か、政府機能がマヒするのを回避するために「ハイパーインフレ政策」を採用するかのどちらかだ。論点はタイミングの問題だけのはずだ。

というのが藤巻さんの結論。

ここまできてしまった以上、残念ながら財政破綻ハイパーインフレしか選択肢はない(もちろんタイミングの問題はある)と思うが、ハイパーインフレは消費税の比ではないほど逆進性が強く、悪政の代表だ。だから政府は政策として採用しないと思っていたが、安倍首相と黒田東彦日銀総裁は「ハイパーインフレ政策」を決断したようだ。「量・質ともに次元の違う金融緩和」を黒田日銀が発表した段階で私は強くそう思った。

私が現役のころのマネタリーベースは約40兆円で、それが常識だった。01年に量的緩和が始まり80兆円、90兆円になったときは「おいおい、そんなにお金をジャブジャブにして大丈夫か?」と心配したものだ。それを14年末までに270兆円にまで増やすというのだ

実務家の私にとっては目の玉が飛び出るほどの巨大な数字なのだ。これで本当にハイパーインフレにならないのだろうか? 白川方明前総裁がここまでの大胆な資金供給に踏み切らなかったのは、彼が怠慢だったからではないだろう。ハイパーインフレが怖かったからに違いない。

40兆円が270兆円と約7倍になり、更に貨幣の流通速度や信用乗数が膨らむと考えれば、控えめに見積もっても円の貨幣価値は1/10以下になるのでは...。1000兆円の財政赤字も今の100兆円相当になるとすれば政府はきれいサッパリ身軽になれる。それと入れ替わりで家計部門の金融資産(預貯金・年金)が幻となる。

12年秋に民主、自民、公明の3党合意で特例公債法案が改正されたのは、首相が毎年代わるのはこの法律のせいだからという理由だった。

だが財政が破綻して国民が味わう苦汁に比べれば、首相が毎年代わることなどマイナーな問題だ。

しかし日本の政治は警戒警報のスイッチを切るという決断を下してしまった。政治がルビコン川を渡ってしまったわけで、ここでも先人の知恵を無視した。

そういう政治家を選んだのは国民で、その結果は国民の自業自得、こういう納得感があるのが民主主義の良いところ!、と自分を慰める私。