Congratulationsの意味

総選挙の結果判明後大物投資家たちが藤巻さんにCongratulationsと伝えた理由をその後も考えていました。

ポジションで儲けたから? 二十数年間で初めてというほどには相場は動いていないから違うのでは。
これから儲かるから? 藤巻さんは予想屋さんじゃなく儲けてナンボだからやっぱり違うのでは。

Congratulationsの意味は「財政破綻ハイパーインフレという最悪シナリオから逃れる道ができておめでとう」という意味ではないかなあ、と思っています。大物投資家は財政破綻の分析にもたけているでしょう。

なぜ、選挙結果が財政破綻回避につながるか?

今回の選挙結果を「国民が小さな政府、より自由主義・資本主義的な経済体制を支持し、4年間その政策を実施できる環境となった」と解釈すれば、長期的に日本がある程度の成長路線に戻ることが期待でき、外国人投資家たちはリスク資産の日本株・不動産を買う。資産価格が上昇すれば、資産効果で消費は増え、バランスシートが改善されるので企業は投資に強気になり、デフレ期待からインフレ期待に転じて景気は回復に向かう。このフェーズで日銀は量的緩和は解除しても緩和的金融政策を続けるだろうから、実質金利は低い水準(あるいはマイナス)を期待できる。こう解釈できるかもしれません。

今年の累積財政赤字をB、去年のをB'、今年のGDPをY、去年のをY' とすると、累積財政赤字GDP比の変化は
B/Y - B'/Y' = (r-g) * B'/Y' - (G-T)/Y、 
r は実質金利、r = 名目金利 - 期待インフレ率
g はGDPの成長率
G-T は今年の財政黒字
B/Y-B'/Y' が正ならば赤字はふくらみ、負ならば減っていきます。

これまではデフレで実質金利 r は大きな値で、更に g はほぼゼロ。G-Tは毎年赤字つまりマイナス三十数兆円で、累積赤字はどんどん成長しました。財政破綻への道です。

小さな政府を指向して政府支出Gを縮小し(決して楽しくは無いが)税Tが増え、かつ景気が回復する場合、
クルーグマン流動性の罠から脱すれば経済は勢いよく成長すると書いていたので g を 5%、実質金利を -1%、累積赤字を800兆円、GDPを500兆円、毎年の赤字を30兆円、とすると
B/Y-B'/Y' = -0.036
と、かろうじて負になります。この計算は数字しだいで何とでもなり私には正確な数値を見積もれないので眉唾ではありますが、うまくいけば「現状を維持し良い方向に向かえるかもしれない」ということは理解できました。
マーケットのプロたちの行動を織り込んだ上で未来を見通しているグローバルマクロの頂点の人たちって凄いですね。

以上は完全に私の誤解かも知れないので気をつけてください。

いろいろ紆余曲折はありましたが結果的には「1ドル200円で日本経済の夜は明ける」となり、第1幕無事終了となるといいですね。11月の新刊が楽しみです。