6月2日 日経 十字路 JPモルガン証券 菅野雅明さん

「世界的な過剰流動性中央銀行の役割」

藤巻さんのロジックの参考になるので要約します。

中央銀行の利下げによる大量の流動性供給がITバブル崩壊後の世界経済をデフレから救った。
その大量の流動性が各地で擬似バブル現象を引き起こしている。
昔、流動性の増加はインフレを引き起こしたが、現在では、中国の安価な財の大量供給と企業間の競争激化のため製品価格は上昇しにくい。
余剰資金の流入で、長期金利の大幅な低下や、コモディティの価格上昇を引き起こした。
問題は、金融市場の変動率低下+デリバティブの発展で、投資家は過剰なリスクテークを行うようになった。
資産バブルが真性インフレになってからでは手遅れである。バブルを防ぐためには中央銀行が早い時期に利上げを開始し小刻みな利上げをするしかない。この政策は当初不人気だろうが、結果として資産価格上昇を享受しつつ息の長い経済成長が実現できる。

私の理解 ...

[1] 価格はモノやサービスの量とマネーの量の割合で決まるが、一部の財は供給過剰状態なので価格上昇しにくい、そうじゃない財は価格上昇している。だから資産価格が上昇しつつある。

[2] 労働の価格のインフレが始まると「もう止まらなくなっちゃう」ので中央銀行短期金利をうんと上げて経済に水をぶっ掛けなくちゃいけなくなる。

[3] そのときに投資家が過剰なリスクテーク(いっぱい借り入れをしている)していると金利引き上げでバブルが崩壊し借金を返せなくなり、貸した金が戻ってこなくなることで実体経済がやられる。

[4] そのためには短期金利をじっくりとあげるのが良い。今回の利上げフェーズではFRBはゆっくりと引き上げているせいかエマージング諸国での経済危機はまだ起きていませんね。

マクロ投資家としては中央銀行の政策をフォローすることは必須ですが、本業を持った上で更に日銀やFRBの文書をチェックするのはつらい。私はマネックス証券のWebサイトで菅野雅明さんのJPモルガン証券のレポートを読むことで済ませています。