バフェットとソロスの勝利の投資習慣 by マーク・ティア
私は真面目の本を読むときはしばしばノートにメモをとります。記憶するためですが、しばしば忘れてしまいます。
かつてこの本を読んだ時のメモを今読み返してみてその重要さを再認識しました。本物の投資家は自分自身を良く知っている。私の場合、そのあたりがとても甘い。反省。
ひょっとしたら他の人の役にも立つかもしれないので、私のノートのメモをWebで公開します。
私のノートゆえ私の理解力の限界や間違いに制約されます。内容を投資に利用する前にオリジナルをチェックしてご自身で確認してください。
- 作者: マーク・ティアー,望月衛
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/09/29
- メディア: 単行本
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バフェットとソロスの投資手法ではなく、投資に関連する諸習慣(投資システム)に書かれた本です。
投資の7つの大罪(誤った考え)
- 次にマーケットがどう動くか予測しなければならない ... ソロスもよく間違える
- 導師信仰
- インサイダー情報こそ...
- 分散投資
- 大きなリターンを取るために大きなリスクをとる
- システム信仰
- 将来何が起こるのかわかっていると信じる
4.と5.に関しては私はこう解釈しています。市場はおおむね効率的でランダムウオークだが、ときどき確率分布が偏るときがある。偏りがわかったらそこに集中しろ。そうすれば低リスクでハイリターンがとれる。
成功するための条件
1. 元本の確保こそが常に最重要事項
2. 能動的にリスクを回避する
- ソロス 急いで逃げる
- バフェット 価値の数分の1の価格で買う、確信が持てるものに集中投資する
- 無意識的無能 自分がわかっていないことをわかっていない
- 意識的無能 自分がわかっていないことをわかっている
- 意識的能力 わかっていることとわかっていないことを、わかっている
- 無意識的能力 わかっているとわかっている (自動的にできてしまう)
- リスクは経験を積むことで低下する
- リスクはやっていることを理解できないことで生じる (バフェット)
- 利益ではなく利益に結びつく尺度に注目する ← 重要ですね
- 投資基準 --- 自分自身の投資基準が必要
- リスクの測定 --- その人自身
リスクの管理のやり方
- 投資しない ... 市場が下落するときはここにいることが重要
- リスクを押さえる ... バフェットの「安全余裕度」(価値よりも安く買うこと)
- 能動的管理 ... ソロス(とレーダーのやり方)リスクをとるのはかまわないが全てをかけてはならない、そして、いつも急いで逃げる準備をしておく 「私はアテにならない」 (ソロス)
- アクチュアリー的(数理的)管理手法 ... 確立が有利なときに買う、大もうけを願わない。グレアム、ピーター・リンチ ... 特定の特徴を持つ株を全て買う
リスクの扱い方は投資家のスタイルや理解に直接関連していることがわかります。せめて「意識的無能」を維持したいものです。
3. 独自の投資哲学を持つ
- 自分の性格、能力、知識、好み、目的、市場の成り立ちをどう見るか、価値判断の方法
- 投資家の意思決定 買い/売り/ホールド/何もしない
- バフェット: Mr. Marketは躁鬱、弱気のところを買う
- ソロス: 市場はいつも間違っている
- フィッシャー: 明確な競争優位 : 低コスト、生産、財務、開発、マーケティング、並外れた経営陣
- ジム・ロジャーズ: 支配的な見方は常に間違っている
- ソロス: 自分が間違っていることもある、偏った通念がファンダメンタルズに影響を与え市場が更に変化、フィードバック(資産効果?)の理論でサイクルの仮説を作る
- グレアム: 短期的には市場は自動投票機(ケインズ)、長期的には天秤(古典派的認識)
- 投資のための思考の量 = 奥行き×深さ
4. 投資を選び自分の売買手法を開発する
(銘柄選択、売買手法、実証) => 独自の投資システム
Bはバフェット、Sはソロス
- 何を買うか: B 事業の質 S 価値が変化する資産(仮説)
- いつ買うか: B 価格が適切 S 仮説が「正しい」と判断したとき
- どんか価格で: B 安全余裕度 S 現在の価格
- どうやって買うか: B 現金 S 先物、信用、借金
- ポートフォリオの%: B 買えるだけ S 買えるだけ、ただし50%を超えない
- 投資後の監視: B 事業が現在でも基準を満たしているか S 仮説が現在でも有効か
- いつ売るか: B 事業が基準を満たさないとき S 仮説が終端に達した or 有効でなくなった
- ポートフォリオの構造とレバレッジ: B 特定の構造なし、フロート S 基本は現物株式
- 調査の方法: B 財務諸表 S 政治、経済、etc. 一見関係ないこと
- システマチックショックに対して: B 安全余裕度 S 控えめなレバレッジ、急いで逃げる
- 間違った場合: B 撤退 S 急いで逃げる
- システムがうまくいかなくなった: B やめる S やめる
例 バフェットの投資基準 自分に理解できるか/うまくいく仕組みの有無/持続可能性
投資の選択と売買手法を投資システムと呼ぶならばそれぞれが合理的に結びついた自分の投資システムを持てということでしょう。私の場合このあたりが甘い。
投資システムの全体像
- 性格、目標、知識、経験、...
- 投資哲学 (市場をどう見るか)
- 自分の土俵
- 自分の基準
- ポートフォリオの構造
- 選別戦略 何を買うか
- 参入戦略 いつ、いくら買うか
- 撤退戦略
- 間違いにどう対処すべきか、システムが機能しなくなった場合どうするか
投資システムは投資家自身とマッチしないと技術的にうまくいかない以上に心理的に負担になり失敗してしまう。汝自らを知れ、ということでしょう。ひとそれぞれなので達人の事例や理論を参考に自分で作り上げていく以外にないのでしょう。長い道、あせらずに行こう。
5. 分散投資なんて小鳥さんのやることだ
- 取引に大きな自信を持っているならば大きなポジションを持つ
- リスクを能動的に避けられる、確立分布の偏りが見える、チャンスが来ているときに
私は「自分が小鳥さんと知っている」ので分散投資を中心にすえ、マクロを意識してアセットアロケーションを傾けたり、割安とか成長を確信する個別株にちょっと手を出したりです。それ以上は今の私には荷が重い。
6. 税引後利益で考える
取引コスト...これは私でも実践できる。
7. 自分に理解できるものだけに投資する
- 知識があり、かつ、理解できる
- 自分が競争優位となる土俵で勝負
8. 自分の基準に合わない投資は拒絶する
- よく知らない領域では無意識的無能
- 熱狂で一番損をするのは懐疑派 ... 一番最後のピーク時に参入するからでしょう、やっちゃわないよう肝に銘じたい
- 何を知りたいか、何を学びたいか、はっきりさせる
手を出さないと決めたら手を出さない、難しいことです。「知りたいこと」や「学びたいこと」に着目し領域を決めるのは良いアイデアだと思います。そういう領域ならば無意識的無能をさけられますから。
9. 自分の手で調べる
- 自分の基準にあった新しい投資機会をいつも探している、自分で調べる、もうあと数マイル
- 敬意に値する投資家やアナリストだけに耳を貸す
- ソロスとジム・ロジャーズ 業界紙を読みまくる
- 監視は重要
「あと数マイル」「監視は重要」 これを怠って悔しい思いをしたり痛い目にあったり。
10. 無限の忍耐力
- 基準に合う投資対象が見つからないならば、見つかるまで待つ
- 考える時間は沢山必要
- システムに待つことを組み込む
藤巻さんは「プールで泳ぐ」とちゃんとシステムに組み込んでいます。
11. すぐに行動する
- 理解できる投資対象、自分の投資基準 → 事務的にやる
- 自分の基準がないと自分の行動に自信が持てない → ぐずぐずする
私は苦手です。システムがグニャグニャしているからでしょう。この本のおかげでシステムが甘いことがわかりました。
12. うまくいっている投資は事前に決めた手じまう理由が現実になるまで手放さない
- 出口戦略
- 基準を満たさなくなったとき
- システムが予測したとおりの現象がおき、シナリオの終端に達した
- システムに基づく目標が達成された
- システムのシグナル (テクニカル、とレーダー)
- 機械的なルール
- 自分の間違いに気づいた
13. 神に従うごとく自分のシステムに従う
- システムと性格が合っていること アナリスト/トレーダー/アクチュアリ
14. 間違いを認めてすぐさま正す
- 自分が当てにならない(ソロス) → すぐ正す
- 成功より失敗こそ研究する価値がある、間違いを避けること、利益の追求はその次
- 間違いとは --- 自分のシステムに従わないこと
- ソロス システムに間違い検出を組み込んでいる
15. 間違いから学ぶ
達人の間違い
- うっかりシステムを踏み外す
- 見過ごし
- 心理的な死角ををつかれて判断が鈍る
- わからないうちに自分自身が変わってしまう
- 気づかぬうちに環境が変化している
- 怠惰 しかるべき投資をしなかった
16. 修行を積む
- バフェットもソロスも20年近く修行した
17. 自分がやっていることを人に言わない
- 他人がどう言おうと気にしない
ある投資はその投資家自身と結びついているので、その投資が私とうまくいくかは別の話、ということでしょう。
18. 任せかたを知っている
- 投資信託 --- ファンドマネージャ
- 株 --- 買った株の経営陣
- まちがった人を選んだら自分の責任
ファンドマネージャのポリシーと経営陣をチェックしろという意味ですね。
19. 稼いでもつつましい生活をする
- 金持ちになりたいのは独立していたいから
20. 金が問題ではない
- 逃げるため (ソロス)
- 近づくため (バフェット)
21. もっているもの(資産)ではなくやっていることを好きになる
- 投資プロセスに思い入れ、自己充足
- 投資対象をさがす過程が好き
- 投資対象には思い入れ無し
22. 1日24時間、息をするように投資のことを考えて暮らす
- 粘り強くやり続けることに勝るものはない
好きになれる領域で自分の投資システムを組み立てるのがいいのでしょう。
23. 全財産を賭ける
自分は何に興味をもっているだろうか、どの資産クラス、投資のどの部分
自分は今何を知っているか、自分は何を知らないかを正しく認識できるか
自分は何を知りたいか、学びたいか
投資哲学
- 投資の真実 市場の成り立ち、価格が動くのはなぜか、損益を決めるものは何か
- 価値判断の方法を含む価値の理論
- 何をもって良い投資とするか
投資哲学/投資手法/投資システム → 投資基準、現時点で測定できる自分の安全余裕度
キャッシュポジション ポートフォリオの重荷になるが(市場暴落時には)オプションの価値を持つ
恒久ポートフォリオ 目的: 元本の確保と長期にわたる元本の購買力の増加
. 株式 25% 高β ボラティリティの大きいもの
. 金 25%
. 債券 25%
. 現金 25%
年に1回リバランスする。
紙に書く
1. なぜそれを買おうと思うのか、なぜその価格で
2. どうなったら売るか
3. 投資対象に何が起こると予想しているか
4. その他、起こりうること
5. その他、起こりうることが生じたらどうするか
自分の投資システムを組み立て確認する意味で紙に書くことは意味がありそうです。早速、実行しよう。
投資システムは投資家の性格・考え方といった投資家自身に深く依存するので、自分を良く知り自分のシステムを作りなさい、と理解しました。