10月13日 日経夕刊 十字路 「円キャリー・バブル」の行方

by JPモルガン証券チーフエコノミスト菅野雅明さん
下記は私の要約

企業の輸出競争力を示す実効為替レートでみて、円は現在歴史的安値であう。1ドル360円だった1975年を下回っている。その結果

  • 日本の輸出企業収益が大幅に増益となった
  • 対外証券投資の採算が大きく改善した。高金利通貨建ての外国証券投資は高利回りと為替差益を両方享受できた
  • 日本政府も外貨運用益が増大し、そのぶん財政赤字を削減できた。

さらに、海外の投資家も債務を円建てにすることで利益を得た。オーストリアでは円建ての住宅ローンが増加中!別の発展途上国では金融引き締めのために利上げしても債務者が円建て借り入れに乗り換えるため引き締めにならない。円で借り入れ他の通貨の資産を保有することが「円キャリートレード
円の超低金利と円安傾向が長期間続いた → 投資家の超低金利&円安期待の醸成 → 円キャリートレードの世界的拡大、バブル現象。
バブルは最初参加者全員に利益となるが、いつかは崩壊する。歴史的にはバブルの多くは金融引き締めのショックで崩壊した。
円安は日銀の超低金利政策が背景にあるが、拡大する円キャリートレードを軟着陸させるためには直ちにごく緩やかな利上げ(例えば毎月+0.05%)を開始すべきだ。将来大幅な利上げが必要となると円キャリートレード・バブルが崩壊し急激な円高を招きやすい。しかし、日銀の金融政策の目的は国内の物価安定ゆえ円キャリートレードは拡大する。

円のマネタリーベースが拡大すると他の通貨のマネーサプライが増加する.... うーん、国内でお金が回って欲しいのに。
外国では円で土地や建築費の支払いはできないので円を売るが、思惑に反し円安から円高に逆転すると、円建てローンから外貨建てローンへの乗り換えや先物でのヘッジが急激に発生するため急激な円買いが発生し円は急騰する、こういうメカニズムですな。